試合情報

–まずは試合の総括をお願いいたします。

「8月はタイトな日程の中で試合をしていますが、ACLの対戦の組み分けも決まりましたし、ますます身が引き締まる気持ちでいました。私が監督に就任してから、J2では6連勝から7連勝目を達成できていませんでした。その中で今回も7連勝が1つの鬼門になるだろうと思っていましたし、簡単に手にすることはできない連勝記録だと捉えていました。選手たちには何度も同じことを繰り返しながら緊張感や危機感を高めるような働き掛けをしてきました。試合の中では強調してきたことを終始実践することや試合の中でも修正を繰り返しながら戦えてこそクリーンシートがついてくるということを認識をしながら、選手たちが忠実に聞いたことを実践してくれたことに感謝をしたいと思います。またこの暑い気候の中、約1万2,000人の観衆の方々が詰め掛けて下さった結果、勝利を勝ち取ることができました。この連勝は皆様の熱い応援が原動力になった結果です。皆様の応援に対しても、感謝の気持ちを述べさせて下さい。ありがとうございました。一度ゴールネットを揺らしたにもかかわらずVAR介入の末、あとちょっとのところでのオフサイドの判定ということで不運な面もありましたが、その中でもナ サンホが先制点を決め、追加点もオフサイドギリギリの場面で林幸多郎が追加点を仕留めてくれました。難しい局面の中で一歩前に出られたこと、また特に2点目は、我々の今のチーム状態を表しているかのようです。後半に関しては恐らく相手が前からボールを奪いに来るだろうし、攻勢を仕掛けて来るだろうという想定をしていました。ただその中で早めに3点目を取りに行くというよりも、前節の神戸戦と同様に、後半の飲水タイムまでは2-0というスコアで推移し、その後は交代選手の起用も交えながら、さらにギアを上げていくという整理が選手たちの間でもできていました。またクリーンシートを保ち続けられることに今の町田の強さがあるのではないでしょうか。後半の立ち上がりに何本か危ないシーンはありましたが、谷晃生が“らしい”プレーで守ってくれたことが我々の勇気となり、力となりました。あのようなファインセーブが出て、3点目に繋がった側面があります。日常の選手たちの積み上げというものが、試合の中で出ていることを選手たちも認識できていると思います。次は中3日でG大阪戦となります。またホームゲームですが、試合間隔の条件は相手と同じです。タイトな日程の中でも我々の強さを発揮できるように、しっかりとマネジメントしていきます。」

–前半の立ち上がりから相手が引いてきた中で2点を取りました。

「データ上、相手が前から来ることも想定していましたが、その場合は背後を使うことによって、間延びをする状況を作れますし、前線のブラジル人選手たちは攻め残るタイプですから、そもそも間延びする状況になるだろうという想定はしていました。相手がミドルプレス気味の出方をしてきたことによって、我々としてはボールを持つ状況を作れましたし、その中でサイドから進入できるだろうとも思っていました。またポケットからの攻略も可能だろう、良いクロスを上げられるだろうとも考えていました。さらにチームにはナ サンホや相馬勇紀ら、縦突破やカットインも可能な選手たちがいるため、そこでの優位性を選手たちが理解し、慌てずに試合を運べたことが前半の2点に繋がったと思っています。中盤に中山(雄太)も入っていましたし、特に前半はとても良い試合運びができました。」

–試合の終盤にネタ ラヴィ選手を起用しました。

「いろいろな思いを抱えて町田に加入した選手ですし、これまでガンバさんで主力選手として活躍していたとはいえ、試合の中でうまくバトンを繋いでいく形を使っていかないと、試合勘は衰えていくと思っています。ただ連戦の中でボランチの選手も替えながら、良い形で戦えることは選手層という意味でもプラスの材料です。いかに彼を起用し、コンビネーションを確立させていくか。また町田の一員であることを自覚させてサポーターの皆様と共に戦っていくんだという意思を示す意味でも、何分でも起用したいと考えていました。試合に出ていた時間帯は、我々コーチングスタッフが伝えていた指示を忠実に実践してくれた印象を持っています。」

–リーグ戦5試合連続クリーンシートと守備陣が洗練されている理由は？

「J2を戦っている頃から積み上げてきたチームコンセプトを選手たちが素直に聞き入れて実践してくれている結果です。良い準備をすること、良い修正をすること、また隙を作らないこと。そうすることによって前半戦に多かったちょっとしたアクシデントのような失点がかなり減りました。そして誰が入ろうとクロスに対する強さを発揮できています。昨季はクロスからの失点が少なかったですし、前半戦は多かったクロスからの失点を改めて見直し、コンセプトに忠実に取り組んだ末、こうして結果が伴ってきています。勝利するための方程式をしっかりと認識し、実践できていること。そういったことが大きなポイントです。」

–リーグ戦7連勝で首位の背中も見えてきました。

「選手たちに強く言い続けてきたことは、これまでの連勝は忘れるように、ということです。本来であれば、前半戦からこのような位置にいるべき我々が、そうではなく、我々のコンセプトから逸脱するプレーが横行している中で取りこぼした試合がありました。そういった借金を連勝することで取り返し、まさにこれからが勝負です。これからが我々の頑張りどころであって、これまでの連勝は借金を返したに過ぎません。首位争いをするためではなく、優勝をするためにここまで連勝を刻んでいると意識を変えていくことが重要だと思います。選手はいろいろと入れ替わることはあるでしょうが、同じ質を伴った形で町田のサッカーを実践していくこと。選手たちにはここ数日、そういった言葉を言い続けています。」

–貴重な先制点は会心のシュートだったのでは。

「もっと良いゴールを決められたんじゃないかなと思っています。“ワンダーゴール”はいつでも決める自信はありますからね。個人もチームも乗っていますし、これからも勝ち続ければ、リーグ優勝というタイトルにも近づけると思っています。」

–序盤に望月ヘンリー海輝選手がゴールネットを揺らした場面はVAR介入によって、取り消しとなりました。ただ気落ちしそうな状況でも、チームとしてのエネルギーを出して、先制点に繋げた印象です。

「チームとしては1-0で勝つパターンが多いですが、アグレッシブに戦っていくことはいつも考えていることです。前から相手にプレッシャーを掛けて行けばチャンスを作れると思っていましたが、そうすることによってシュートチャンスをゴールに繋げることができました。」

–ACLでは最初の試合で古巣であるFCソウルとの対戦が決まりました。そういった報せも発奮材料になったのでは。

「FCソウルと対戦できるのが決まったことは喜ばしいですが、まだ先の話ですから、目の前のセレッソ戦に集中していました。野津田で対戦することが楽しみですし、平日の試合になることが残念ではありますが、たくさんの方々にお越しいただけると思っています。」

–試合終盤の途中出場で町田デビューを果たしました。

「実際にピッチに入った際は、選手たちが100%以上の力を発揮していました。その中で交代出場で町田デビューを果たし、スタジアムの雰囲気から私を歓迎して下さっていることが伝わってきました。とてもうれしい気持ちになりました。皆様のことを幸せにしたいという気持ちになりました。今月はたくさん試合がありますから、しっかりとした準備をした上でチームの力になりたいです。今日出た時間帯の中では自分の力の限りを尽くしてプレーしたつもりです。」

–自分のプレータイムの中で意識していたことは？

「リードしている状況でしたし、クリーンシートに貢献したい気持ちでしたから、そのために全力を尽くしました。最後の方には前に出ていくチャンスはありましたし、出るからにはチームを勝たせる働きをしたつもりです。」