慢心はなし。一戦必勝で盛岡戦へ
“王者”としての戦いが幕を開ける。2025年に国内三大タイトルの一つである天皇杯を初めて制したFC町田ゼルビア。その初戦の相手は、JFLに所属するいわてグルージャ盛岡だ。
「優勝したのは過去のこと。まずは目の前の一戦に全力で戦いたい」
そう語る黒田剛監督に王者としての慢心はない。町田は一戦必勝で盛岡戦に臨む。
いかに勝ち切るか
Jリーグクラブからアマチュアまで、カテゴリーの異なるチームが同じ舞台で戦うのが天皇杯だ。時にアマチュアのチームがJリーグクラブを倒す“ジャイアントキリング”が話題になるが、一発勝負のトーナメントは本当に何が起こるか分からない。青森山田高校の監督時代からいくつものトーナメントを戦い、制してきた勝負師・黒田監督もその怖さを分かっているからこそ、戒める。
「J1だろうとJFLだろうと力関係はカップ戦では本当に分からない。我々は普段の日常を変えることなく、しっかりとみんなの強さ、力を押し出しながら、まずは目の前の一戦にしっかり勝利すること。大差ではなく僅差でも勝ち切ることがすごく重要になってくる」
盛岡も決して簡単な相手ではない。現在はJFL所属とは言え、2014年~21年はJ3、22年にJ2、そして23~24年はJ3で戦っていたクラブだ。2025年限りで西大伍、中村充孝が現役を引退し、小林祐希らも退団。2026年からは大幅にメンバーが若返り、20代中盤の選手を中心とした構成になった。一方で、名古屋や京都などでプレーしたDF牟田雄祐、磐田や金沢でのプレー経験を持つ石田崚真ら、経験豊富な選手もチームを支えている。Jリーグと同じく半年シーズンとなった『2026 JFL CUP』は東地区の2位でフィニッシュ。8月29日から開幕するJFLで“J3復帰”を狙っているチームだ。
基本システムは[4-4-2]。若くて勢いのある伸び盛りのチームを現役時代は東京Vなどでプレーしていた菊池利三監督が束ねている。
厚い選手層を生かし、総力戦で2連覇へ
町田は今こそ総合力の高さを示す時だ。まだシーズン開幕前の盛岡とは反対に、町田は直近のリーグ・浦和戦から中2日。消耗の激しい夏場を考えてもコンディションの差は明確だ。だが、リーグ戦開幕3連勝スタートとなった今の町田には、厚い選手層がある。現在は西村拓真が途中出場で2試合連続ゴール中。浦和戦では新戦力の松尾佑介もついに途中から町田デビューを果たした。この選手たちが今はサブに控えているほど、チーム内の競争は激しい。
「選手層も厚くなっているので、いろんな選手を起用しながら、我々の強さを維持していけるのは一つある」(黒田監督)。
盛岡戦の先発メンバーの顔触れがどうなるかは当日のお楽しみだが、誰が出ようとも町田の強さを示せる選手は揃っている。それを表現する場がこの盛岡戦だ。
「自分の特長である高さや前へ進むスピード、パワーなどを出していきつつ、得点に直接関わるようなアシストやゴールを意識したい」とは望月ヘンリー海輝。試合に飢えた選手たちのモチベーションは十分。町田は2連覇へ向けて、チームの総力を結集して盛岡戦へ臨む。
Pickup Player Voice
DF 6 望月 ヘンリー海輝
相手を飲み込んでいきたい
——ここまでチームはリーグ戦3連勝です。手応えをどう感じていますか?
「一つひとつの試合の中で改善していっていますし、良い結束力で迎えられていたリーグ戦3試合だったと思います」
——自身のここまでのコンディションは?
「キャンプからコンディションは良くやってこられていると思っています」
——盛岡の印象は?
「ハイプレスでエネルギッシュなチームでもありますし、要所、要所で上手さもあります。簡単な相手ではないという印象です」
——どのあたりに気を付けたいですか?
「試合の入りの部分で相手の勢いに飲み込まれないように気を付けたいと思います」
——出場機会を得たら、どうアピールしていきたいですか?
「自分の特長である高さや前へ進むスピード、パワーなどを出していきつつ、得点に直接関わるようなアシストやゴールを意識したい。ただ、まずは得点を取られないようにすることが一番ですね」
——勝利のポイントは?
「相手を飲み込むパワーと言うか、気持ちの部分になりますが、相手を飲み込んでいきたい。良い意味での威圧感が大事になると思います」
——王者として臨む大会になります。意識はしますか?
「僕はあまり意識していないですし、気持ちを引き締めて『この1試合に』という思いしかないです」
——ファン・サポーターに向けてメッセージをお願いします。
「僕は意識しないと言いましたが、ファン・サポーターはFC町田ゼルビアとして成し遂げたことのない2連覇を期待していると思います。意識してはいないと言いつつも、ファン・サポーターの皆さんには、またあの光景を見せられたらと思っています。そのためにも僕たちの力だけでなく、ファン・サポーターの皆さんの応援が間違いなく重要になります。応援をよろしくお願いします」


