決勝はアルアハリ・サウジと激突
FC町田ゼルビア史上、最大の挑戦だ。
ACLE初出場の町田がファイナルで激突するのは、アジア王者のアルアハリ・サウジ。前回大会決勝で川崎Fを倒してACLE初制覇を果たし、今大会では準決勝で神戸に勝利している日本勢に立ちはだかってきた難敵である。近年のアジアサッカー界をけん引するサウジアラビアの“ビッグクラブ”に対し、J1昇格3年目の“新参者”である町田はどう立ち向かうか。クラブ史に残る歴史的な一戦となる。
ここまで“町田らしく”勝ち上がってきた。グループステージを首位で通過すると、ラウンド16から準決勝までは真骨頂を発揮。4試合で喫した失点は『ゼロ』。勝利したゲームはすべて1-0の『ウノ・ゼロ』だ。「(黒田剛)監督には1-0の美学がある」と主将・昌子源が話す“堅守”の戦いをアジア最高峰の舞台で体現し、快進撃を見せてきた。
「(無失点を)継続できれば負けることはない。このまま継続し、日本という国を代表して決勝に挑みたい」(岡村大八)。
組織力を磨き続けてここまで辿り着いた町田の準備は整っている。
相手はアジア屈指のワールドチーム
相手は決勝にふさわしいアジアトップの巨大クラブだ。アルアハリ・サウジは、準々決勝で対戦したアルイテハド同様、欧州やアフリカの各国代表が並ぶ。準決勝で先発した二人のサウジアラビア人も代表歴があり質が高いが、その周りの外国籍選手は世界クラスのタレントだ。
システムは[4-3-3]もしくは[4-2-3-1]を採用。守護神は、イングランドの強豪・チェルシーにも所属していた現役セネガル代表のエドゥアール・メンディーがどっしりと構え、CBではブラジル代表のロジェル・イバニェス(元ASローマ)とトルコ代表のメリフ・デミラル(元ユヴェントス)が守備を支える。
中盤にもボランチにはコートジボワール代表のキャプテンを務めるフランク・ケシエ(元バルセロナ)が君臨している他、年代別フランス代表歴があり10番を背負うエンゾ・ミローといった若い才能がいる。
そして前線はより強烈だ。イングランド代表歴のあるセンターFWイバン・トニーの両脇に配置されているのが、リヤド・マフレズとガレーノの超強力アタッカー。「アルジェリアの魔術師」の異名を持つマフレズは、レスター・シティやマンチェスター・シティでプレミアリーグを制覇した世界で名の知れた名手である。繊細なボールタッチ、正確無比の左足は今なお健在で、右サイドを主戦場とするアルアハリ・サウジでも攻撃の中心となっている。
一方、ブラジル代表歴のある左サイドのガレーノは、何と言っても“一発”だ。準々決勝、そして準決勝・神戸戦で見せた強烈なミドルシュートは、まさにワールドクラス。過去に対戦経験のある相馬勇紀も警戒する。
「ガレーノはとんでもないシュートが飛んでくる。僕がポルトガルのクラブにいた時に彼はポルトの中心として攻撃を組み立てていた。彼には注意したい」
どれだけ敵の守備組織が整備されていようとも、それを一振りで破壊してしまう圧巻の右足は、相手にとって大きな脅威となる。
そんなタレント軍団をまとめるのは、38歳の若きドイツ人の知将であるマティアス・ヤイスレ監督。オーストリアの強豪、レッドブル・ザルツブルクの監督時代に欧州CLで16強進出を果たして名声を高め、現クラブでは2023年から指揮を執っている。今季のACLEではラウンド16以降はすべて1点差と決して楽な勝ち上がり方ではなかったが、勝負を決めにかかる時のチームの怒涛の攻撃は、迫力満点だ。
町田は恐れずに挑む
初出場・初優勝の偉業に挑む町田は、恐れることなく王者に挑む。どれだけ相手に強烈な個が揃っていても全員がハードワークし、緻密で高い組織力を発揮して勝ち上がってきたのが今大会の黒田ゼルビアだ。確かにアルアハリ・サウジ攻撃陣は強力だが、町田の“堅守”がアジアトップレベルであることは、現在の4試合連続無失点が証明している。
「我々のストロングとして、失点ゼロで推移しながら、守から攻のところで得点を奪って行く。またはリスタートから点数を取って行く。我々の意図しているサッカーを前面に押し出していくことによって結果は付いてくるのではないかと感じている」
そう町田の強みを強調した黒田監督は、この一戦に心技体のすべてを懸ける。
「チャレンジャーの気持ちで戦うのは変わらない。失うものは何もないぐらいの気持ちで臨みたい」
この一戦に勝てば、クラブワールドカップの出場権獲得だ。
「町田を世界へ」
クラブの壮大な目標は、もう目前まで迫っている。
Pickup Player Voice
FW 7 相馬 勇紀
チャンピオンになるために来た
——ラウンド16以降は4試合すべて無失点。町田らしく戦い決勝まで来れたのでは?
「約1年半前ぐらいから3バックシステムでやってきた中で、守り方の形もそうですし、特に後ろの選手のラインのキープ、スライドが素晴らしいです。ディフェンスラインを中心にチーム全体で良い守備ができていることが(無失点に)繋がっていると思っています」
——決勝ではチームとしてどんな戦いを見せたいですか?
「電光石火ではないですけど、(昨年の)天皇杯決勝と同じようにまずは先制点を取って、追加点を取って、そこから粘り強く戦いながらもう1点を奪うのがベストだと思います」
——決勝の相手・アルアハリの印象は?
「若くてヨーロッパのトップでやっていた選手がプレーしている印象です。個人、個人の上手さだけでなく、背後にランニングしてきたり、強さやスピードも兼ね備えた素晴らしいチームだと思っています」
——勝利のポイントは?
「先制点ですね。僕やテテ(・イェンギ)、エリキだったり、(藤尾)翔太、(ナ・)サンホ、(仙頭)啓矢君、(桑山)侃士など、攻撃陣が点を取ること。やはり点を取らないと勝てない。今のDF陣はずっと失点ゼロで抑えてくれていて素晴らしい結果をもたらしてくれているので、攻撃陣が奮闘できればと思っています」
——中山雄太選手や岡村大八選手など、96年世代の選手で声を掛け合っていることは?
「僕は同期に全幅の信頼を寄せています。準決勝でも途中交代する時に、雄太に『頼む』と。雄太も準々決勝を戦う前に『(出場できない)オマエをベスト4に連れて行く』と声をかけてくれました。僕たちの絆は本当に深いものだと思う。試合が終わってからも必ず(菊池)流帆や(西村)拓真など試合に出られていない同期のメンバーが日本からメッセージを送ってくれている。絆の深い僕らの世代が中心になって引っ張らないといけないと思っています」
——ACLEのタイトル獲得となれば、特別な思いもあるのでは?
「人生の中でも素晴らしいタイトルの一つであると思います。今までのACLではなく、ACLエリートになってから、そしてサウジアラビアにいろんなスター選手が入ってくるようになってから、このクオリティーでの優勝はまた一つ大きなものであると思う。そこをしっかりと嚙みしめるために勝利したいです」
——現地に加え、日本で応援しているファン・サポーターに向けて意気込みをお願いします。
「ACLEの頂点を獲るという話をしてから、本当に今、ここまで来ました。何度も話していますが、ファイナリストでなく、やはりチャンピオンにならないと、その価値は何十倍、何百倍と違います。チャンピオンになって一緒に喜べたらと思います」
Stats
■AFCチャンピオンズリーグエリート・リーグステージ成績
- FC町田ゼルビア
- 【EAST順位:1位】
5勝2分1負
勝ち点:17
総得点:15
総失点:7
得失点差:8 - アルアハリ・サウジ(サウジアラビア)
- 【WEST順位:2位】
5勝2分1負
勝ち点:17
総得点:21
総失点:9
得失点差:12
■AFCチャンピオンズリーグエリート・ノックアウトステージ
ラウンド16
【FC町田ゼルビアvs.江原FC(韓国)】
3/3 第1戦(A)0△0
3/10 第2戦(H)1〇0
【アルアハリ・サウジ(サウジアラビア)vs.アル・ドゥハイル(カタール)】
4/13 1〇0 ※WESTは1試合のみ
■AFCチャンピオンズリーグエリート・ファイナルズ
準々決勝
【FC町田ゼルビアvs.アルイテハド(サウジアラビア)】
4/17 1〇0
【アルアハリ・サウジ(サウジアラビア)vs.ジョホール・ダルル・タクジムFC(マレーシア)】
4/17 2〇1
■AFCチャンピオンズリーグエリート・ファイナルズ
準決勝
【FC町田ゼルビアvs.シャバブ・アルアハリ(UAE)】
4/21 1〇0
【アルアハリ・サウジ(サウジアラビア)vs.ヴィッセル神戸(日本)】
4/20 2〇1
Match Highlights



