○試合後の記者会見:ランコ・ポポヴィッチ監督
–試合の感想をお願いします。
「両チームともに健闘し、素晴らしい試合となりました。私たちも今日は質の高いプレーが出来ましたが、Honda FCもレベルの高いプレーを披露していました。JFLの他の試合と比べても、レベルの高い、見応えのある試合になったと思います。私たちは、これまで主力として活躍してくれていた勝又と津田という2人のプレーヤーを欠くという難しい状況でした。しかし、今日出場した選手たちが奮闘し、これまでとまったく遜色のない、レベルの高いサッカーを披露してくれました。そのことに、大きな価値があります。今日、センターバックとして出場した太田は、もともとはMFの選手です。公式戦でDFを務める経験は少なかったと思いますが、素晴らしい活躍をしてくれました。山腰は、なかなか先発の出場機会がないにも関わらず、しっかりと自分の役割を試合終盤まで果たしてくれました。確かに前節の大差での敗戦は非常に悔しいものでしたが、すべての選手・スタッフが今日の試合に勝利するために集中し、戦うことができた成果だと思います。前節の敗戦から、私たちはしっかりと学ぶことができました。泰成(藤田)のおじいさんがお亡くなりになり、今日がお葬式でした。彼が、そのことを私に伝えたのは、今日、試合が終わってからのことでした。泰成の心情を察すると、とても難しい状況だったと思いますが、彼はチームに残ることを選択し、私たちと一緒に戦ってくれました。そして、出場停止の津田に代わり、キャプテンを務め、立派にその責任を果たしてくれました。彼は、プレーヤーとしての素晴らしさだけではなく、一人の人間としての強さも証明してくれました。私は、監督就任以来、選手やスタッフに「サムライスピリット」を求めて来ましたが、まさに、こうした行動こそが、私の考えるサムライスピリットです。泰成に限らず、チームの皆が仲間への犠牲心を持って戦うことができています。こうしたことが、今日の勝利に繋がったのだと思います。天国にいる泰成のおじいさんにとっても、泰成が今日発揮してくれたパフォーマンスと結果は、最高のプレゼントになったのではないでしょうか」
–縦にクサビのパスを入れてからの、ダイレクトプレーを織り交ぜた素早い攻撃というのは素晴らしいものがありました。その反面、もう少し中盤でタメを作って、ボールを落ち着けた方が良いのでは? と感じる場面もありました。ポポッヴィッチ監督としては、さらにこの長所を伸ばして行きたいのか、それとも、中盤でタメを作る場面が少ないということを改善していきたいのか、どちらでお考えなのでしょうか?
「素晴らしいご指摘です。まさに、現在の私たちに欠けているのは、その「タメを作って、試合を落ち着かせる」という要素です。90分間、全力でスプリントし続けることができる選手などいません。サッカーは、必ず、試合中に「休む」という行為が必要となります。試合の流れを読みながら賢くプレーし、時にはパワーをセーブしてプレーすることも必要となります。そうした部分が、まさに今の私たちには欠けています。しかし、まだ私たちは新しいチームです。そして、今季からコンスタントに試合に出場するようになった選手も多くいます。この課題については、リーグが進むに連れて、もっと改善して来ると思います」
–今日の試合だけ見れば、2位のHonda FCと9位のゼルビアの順位が逆なのでは?という感想を持ってしまうほど、ゼルビアが上回っていました。こうした内容のサッカーをすることができたチームがなぜ9位なのか? ポポヴィッチ監督はどのようにお考えですか?
「先ほどの質問への答えとも重複して来ますが、まだ私たちは新しいチームです。コンスタントに力を発揮できていません。確かに、前節の敗戦は本当に悔しいものでした。私は、大の負けず嫌いですので、夜も眠れないほどでした。でも、歩んで来た道を変えることはできません。自分たちが選んだ道を、信じて戦うことこそが、勝利への近道だと信じています。前節の敗戦で、私がもっとも悔しかったことは、私たちのプレーは決して相手に劣っていなかったということです。相手と互角以上の戦いをしながら、結果は大差での敗戦となってしまいました。結局のところ、相手に敗れたというよりも、自分たちに問題があり、あのような結果になったのだと思います。私は、試合前に、いつも選手に1つだけ約束を作ります。「自分の持っている力を、最大限出し切ること」。今日は、最高の形で、その約束を果たしてくれたと思います」
以上
▽選手コメント
○MF鈴木崇文選手
「ここ最近は、納得のいくプレーができていませんでした。そして、前節のあの大敗。今日は絶対に内容と結果を残さないと駄目だと気合いを入れていました。前半は左サイドにポジションをとりました。サイドバックの泰成さん(藤田)とコミュニケーションを取りながら、スムーズにマークの受け渡しなどもできたと思います。そうしたこともあり、高い位置でボールに絡む機会も数多く作ることができました。その点は良かったと思いますが、せっかく絡んでもミスが多かったので、その部分は課題です」
–得点のシーンを振り返って
「ファーストタッチで中へ切り返して相手と身体を入れ替えようと思ったのですが、うまくコントロールできませんでした。でも、落ち着いて身体を入れて持ち直し、対面する相手DFと、もう一人、はさみに来ようとしていた相手DFの間を割って中央へドリブルを仕掛けました。シュートを撃つ場面で、相手DFが飛び込んで来ることは予想していたので、その相手DFの股の間を狙ってシュートを撃ちました」
–次節の長野パルセイロ戦へ向けて
「連勝して、良い流れに持って行きたいと思います。観客の皆さんに楽しんでもらえるようなサッカーで長野に勝利したいと思います」
○MF太田康介選手
「公式戦でセンターバックでプレーするのは本当に久しぶりですね。ほぼ初めて、と言っても良いくらいだと思います。難しいことは考えずに、とにかく失点しないことだけを考えてプレーしていました」
–相手FWの前に飛び出して行って、インターセプトする場面が目立ちました。
「ボランチより1列後ろにいる方が、周囲が良く見えました。もちろん、センターバックは最後のラインなので、前に飛び出すことにリスクはありますが、ボランチの場合は360度に気を配る分、判断が難しい局面もあります。まだまだ判断に迷いが生じてしまう場面はありましたが、最後尾のセンターバックの方が思い切って相手ボールに食いつくことができる場面もありました」
–プレーに気迫が漲っていました。
「もちろん、ポポヴィッチ監督が目指す美しいパスサッカーを実現させることも大事。でも、まず、サッカーって、そういう「戦う気持ち」とかが大切だと思うんですよね。そんなことは、監督に教えてもらうことではない。持っていて当たり前のもの。まず、その部分で相手に負けていては、絶対に試合に勝てないと思ってプレーしています」
以上