○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「ポゼッション能力が高く、レイソルさんの洗練されたパスワークに対して、どれほど脅威を与えるプレスができるかは狙いの1つでしたが、意図した形でボールを奪うことができても、シュートまで完結させられなかった点は悔いが残ることです。ただ後半はオウンゴールこそありましたが、かなりパーフェクトなゲームをしてくれたという印象です。オウンゴールのシーンに関しても、きちんと声を掛けていれば、クロスを触らずとも逆サイドから選手が戻ってきていたため、余計に悔いが残る形になりました。それ以外の場面は非常に体を張って町田らしい守備をしてくれました。点を取れそうなチャンスの場面もいくつかありましたが、その場面で点を取れるかどうかは、個のクオリティー次第です。決められなかったことは来季以降の課題として、さらにチームの強化を進め、個人のスキルを上げていくしかありません。良くも悪くもいろいろなことがあったシーズンですが、目標の5位以内は1つ下の順位である6位という結果に落ち着きました。ただ怪我人も多く出たシーズンで選手たちが良く頑張ってくれました」
–ハーフタイムの選手交代で西村拓真選手とオ セフン選手を送り出しました。交代策の意図は?
「前に高さを1つ担保できている方がロングボールの展開から効果的にセカンドボールを拾っていく形が有効になるだろうと決断しました。高さを担保しながらセカンドボールを前向きに拾うことができれば相手ゴールに迫れるだろうという狙いです。(ミッチェル)デュークからセフンへの交代は我々にとって1つの交代策です。西村はまだゲーム勘は戻っていませんが、決定的な場面もあった中で決められなかったことはもっと練習を積んでいく必要があるかもしれません。その交代策で大きな不具合が生じたわけではありませんし、選手たちは良くやってくれたと思っています」
–74分にネタ ラヴィ選手とドレシェヴィッチ選手を送り出し、望月ヘンリー海輝選手を右ウイングバックに上げました。この交代策の意図は?
「高さの担保と中盤のクオリティーを上げていく狙いがありました。ネタ ラヴィはフィニッシュの力もありますし、中盤の底でタメを作りながら、ワイドの選手が中に入っていく状況も作れる選手です。イボ(ドレシェヴィッチ)に関しても、ロングフィードの精度がありますし、最終ラインの個性を代えることでセットプレーのチャンスを多く作れるだろうという算段でした。最後に送り出した桑山 侃士を含めて、高さはアドバンテージになるため、1つの勝負として押し出せればと決断しました」
–ACLEの試合がまだ1つ残っている状況ですが、この1年を通して、来季に向けて掴めたものは?
「これから反省材料を精査していきますが、シーズンのことを考えると、多くの怪我の離脱がありながら、本職ではないポジションを務める選手がいた中で、代わりに出るような選手たちも奮闘してくれました。来季に向けて強いて言えば、怪我をしない体作りをしていかなければなりません。上位を争うようなチームは離脱者が少なく推移する選手層やタフさを兼ね備えていると思います。J1・2年目にしてタフに戦えていますが、上位に定着していくためには、必要な要素かなと思います。攻撃的なスキル、ポケットを攻略すること、フィニッシュを決めきる部分を含めてのクオリティーは、もう一段階上げていかなければ、上位に君臨し続けることは難しいですから、クラブとしていろいろなことを相談をしながら、手を打っていきたいと考えています」
–J1昇格2年目で昨季に続き、上位争いをできていることは大きな自信に繋がるシーズンになったのでは。
「多少の手ごたえは残りましたが、J1リーグは一瞬の隙をも許されないですし、ワンチャンスを仕留めるアタッカーやそれを食い止めるGKも豊富にいます。J2とはまた違った強さを感じるリーグという認識です。ただ我々も発展途上ですし、個人としてもプロ監督3年目の挑戦です。1つひとつ段階を踏みながらシーズンを消化しています。来季はまた違ったテーマを課しながら、選手たちと共に取り組んでいくシーズンにしたいです。来季のスタートは特別大会にもなりますし、いろいろなチャレンジもできると思いますから、選手たちとも協議をしながら、良いチームを作っていきたいです。大切なことはサッカーの側面だけではなく、組織作りです。土台を踏み固めていかないと、脆い組織、チームになってしまいますから、J1に君臨し続けるための土台作りをしていきたいです」
–長いリーグ戦が終わった中で、選手たちにはどんな言葉を掛けますか?
「今ここで気を抜くわけにはいかないですし、次のACLEはホームゲームですから、ファン・サポーターの皆様に笑顔を届けたいです。ただ中2日での試合でもあるため、難しいコンディション作りを強いられると思いますが、ホームで勝利し、良い状態で来季を迎えられるように、勝利を掴み取ってから、選手たちには労いの言葉を掛けたいと思います」
以上
○柏レイソル:リカルド ロドリゲス監督 会見要旨
「町田さんはとても危険なチームです。先発メンバーの11人だけではなく、サブメンバーにもクオリティーの高い選手たちが揃っています。そういった相手との試合は、前半だけではなく、後半も難しい展開になることを予想していましたし、実際にそうだったと思います。前半は守備でうまく嵌めることができた上に、攻撃でも複数のチャンスを作れていました。後半は若干守備面で難しさがあった中でポストにシュートが当たる場面を作られましたが、試合全体では攻守にわたって完璧に近いプレーができました。だからこそ我々が期待していた勝ち点3を取ることができました」
以上
▽選手コメント
○昌子源選手

–チームの結果としては、目標に掲げていた5位以内には届きませんでした。
「目標を達成できずに悔しい結果となりました。振り返ると、難しい時期を乗り越えたと思ったらまた苦しい時期がやってきたり、思うようにいかないことが多いシーズンでした。一番試合に出させていただいた身としては、劇的なゴールで勝ちきる試合もあった一方で、思い返せばあの試合が悔しい結果だった、あの試合をこうすれば良かった…というのは思い浮かびます。その中で結果を残せなかったことには申し訳ない気持ちでいっぱいです。勝つ難しさ、勝ち続ける難しさを痛感しました」
–個人という意味では、J1リーグでフルタイム出場を果たしました。
「全ての試合に出させていただいたコーチングスタッフの皆さんに感謝しています。僕のミスで負けたような試合があっても、信頼して使ってくれたということにも感謝したいです。また頑丈な体に産んでくれた親にも感謝です。ガンバに在籍していた頃、足首の怪我で思うようにプレーできなかった時期があったことを思い返せば、こうしてフルタイム出場できたことをうれしく思います」
○西村拓真選手

–ハーフタイムの選手交代で後半の開始からピッチに立った中で、シュートチャンスがありました。
「ショートカウンターの展開から良い形でシュートまで持ち込めましたが、結果が全ての中で決められずに悔しいです。個人的には今季を象徴したようなシーンだったと思っています」
–町田へ移籍してから1年目のリーグ戦が終わりました。
「個人的には望んだ結果ではなかったですが、未来への成長の糧だと思っています。もっとレベルアップができると思っているので、やれることをやっていきたいです」
–中2日で今季の公式戦最終戦にあたるACLEの蔚山戦があります。
「サポーターの皆様へ感謝の気持ちを結果という形で示したいです。また個人としても結果を残したいですし、チームの勝利のために自分の価値を示したいです」
以上