○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「2点のアドバンテージがある中での第2戦に向けて、サッカーでは2点差が危険であることを、選手たちには言い聞かせてきました。
また攻撃に振り切ってくるC大阪さんに対して、追い討ちをかけるゴールを決めたり、相手を飲み込んでいく状況を作らなければ、仮に1点を取られるようなことがあると、相手に勢いが出てくるだろうということも選手たちに言い聞かせて試合に入りました。選手たちは言われたことを理解し、練習してきたセットプレーの形で先制したことで2戦合計では5-1というスコアになりました。こうして良いスタートを切ることはできましたが、その後は常勝チームとして、勝者のメンタリティーを持続できないチームの甘さが出たゲームになりました。
また我々が志向しているゴール前でのシュートブロックやボックス内に進入させないことなどもできていない場面がありましたし、前線の選手は個の力で3点目を取りに行きたかったのか、判断の悪いプレーにより、チームメートとの連係が図れないことも目につきました。
その中で安易なボールロストから、カウンターを食らう場面が結構出ていました。カウンターを受けないことが必要とされる試合展開であるのに、2点をリードしたことで急激にそういったプレーができなくなっていました。そして前半のうちに2失点を喫し、2-2で迎えたハーフタイムには、語気を強めて、選手たちに前半の反省点を指摘しました。まだまだ勝負に対する甘さやぬるさが見えている選手が多くいたので、そこを修正し、1人選手を代えて後半に臨みました。2点のリードは残り5分ぐらいの時点で活きてくるリードであり、それまではあってないようなものです。特に2点のアドバンテージを気にすることなく、頭の片隅に置いて、あとは勝ちに行くんだとハーフタイムに厳しく指摘をしました。相手もかなり点を取りに来ましたし、その中で耐える時間帯も多かったですが、途中から入った選手たちを軸に、後半を無失点に抑えることを、出ていた選手たちは実践してくれました。次のステージに進めますが、反省材料も多いため、今後の天皇杯やリーグ戦では改善できるようにしていきたいです。
クラブとしてはルヴァンカップのベスト8進出を果たし、今後も新しいステージをファン・サポーターの皆様にお見せできることをうれしく思っています。
こうしてスタジアムにお越しいただき、大声で応援して下さる皆様には勇気をいただいているので、とても感謝しています。
もっと涙が出るような感動的な試合やタイトルに一歩一歩近づく瞬間を共有できるように、これからもチーム一丸となって戦っていく所存です」
–第1戦から先発メンバーを3人変更しました。その意図は?
「(J1第17節・新潟戦のスタメンから総入れ替えとなった)第1戦はターンオーバーをした意識はなく、いろいろな選手にチャンスを与えながら、天皇杯や次のリーグ戦の横浜FM戦に向けて、どんなメンバーを選んでチームにフィットさせるべきか。また新潟戦の反省材料をどう改善するのか、そういった点を見極める中で、仮に結果が出ないようであれば、選手たちには次のチャンスはないと話をしてきました。今回3人を代えたことが良かったのか、彼らを使うことでの有効性はどうなのか、そういったことを精査する必要はあります。第1戦は先発だった池田樹雷人や安井拓也、マサ(奥山政幸)が悪かったからメンバーを代えたわけではありません。どういう組み合わせが一番チームにとって良いことなのか、模索している段階です。出来が良かった第1戦から3名を代えることでどんな化学反応が起きるのか、あるいは水準よりも(チーム力が)落ちるのか、そういったことを精査する意味も含めて、メンバーを代えました」
–ルヴァンカップでベスト8に進出し、リーグ戦も首位を走っています。タイトルを狙う上で夏の補強なども考えられているのでしょうか。
「予算の問題や交渉相手となるクラブの事情も踏まえれば、一筋縄ではいかないことですが、我々の選手が引き抜かれることも考えられる中で、選手の出入りに関して、チームを離れる選手ばかりにならないようにすることは、今後を戦っていく上での重要なポイントになってくると思っています。今後はますます強化部と綿密なコミュニケーションを取っていくべき事案です」
–3日後の天皇杯では学生チームの挑戦を受ける立場です。どんな働き掛けをした上で試合に臨みますか。
「まだメンバーは決めていませんし、筑波大さんも大学の公式戦を戦った後ではあるため、お互いに難しい状況ですが、筑波大さんにとってはチャレンジする試合になります。逆に我々にとっては難しい状況設定です。また大学生チームが勝った方が、大会は盛り上がるという側面があることは、過去の大会でも見てきたことですが、メンバーがどうであれ、大学生には負けられません。
プロとアマチュアの実力差をどれだけ見せられるかは、後半戦に向けて精査すべき材料になります。
ここで差を見せられないようであれば、リーグ戦でもチャンスはないと思います。筑波大さんはトップクラスのチームですし、大学生と対戦できるからこそ、プロとしての違いを見せられないと今後のチャンスはないと、厳しい状況を作って選手たちを試合に向かわせたいと思います。さらに中2日での試合でもあるので、コンディションを整えて試合に臨ませます」
以上
○セレッソ大阪:小菊昭雄監督 会見要旨
「個人的にも思い入れが強いルヴァンカップという大会が終わってしまった失望感はありますが、私自身が大会の散り方を重要視している中で、選手たちは素晴らしい散り方をしてくれました。失点に繋がってしまったセットプレーに関しては、その重要性を理解した中で練習しています。時には我々の準備の上を行くデザインされたセットプレーもある中で、準備をしてもやられているということは、結果が全ての世界でこれからも向き合ってやっていかなければなりません。今後は努力が結果につながるように取り組んでいきたいです」
以上
▽選手コメント
○福井光輝選手

–福井選手個人という意味では、前半の2失点で堪える働きをできたのでは。
「そもそもチームとしては0-0の気持ちで入りましたし、それでも2点差を追いつかれたことは今後も起こり得ることかもしれませんが、修正をして今後はなくしていきたいです。後半のルーカス フェルナンデス選手のシュートにしても、味方がしっかりとコースを消してくれましたし、僕1人で守れたわけではありません。チームメートの力を借りながら、落ち着いて守ることができました」
–GKとしては悔しい2失点がありました。
「まずは2点を先制したことで僕自身も少し落ち着いてしまいました。守備でも自分たちでアクションを起こすことができれば良かったのですが、それができずに不運な形で失点をしていました。そういったことは反省点です」
–後半に関しては、無失点で終えることができました。
「後半は相手がよりボールを持つことは分かっている中で、チームメートはボールを奪うための守備をしてくれました。僕だけではなく、仲間ありきの2-2でのドローかなと思います」
○ナ サンホ選手

–2試合連続のゴールとなりました。これはもう“ルヴァン男”と言っても良いのでは。
「運良く我々が準備してきた形からゴールを決めることができました。ただ得点を決めたこと以外は、自分のプレーに納得がいっていません。正直自分自身に物足りなさを感じています。守勢に回ることなく、アグレッシブに仕掛けることで自分たちの良さが出ると思っていますし、アタッカーの仕事は得点に絡むことですが、それができずに残念ではあります。それでもクラブとしては、新しいステージに進出できたのは良かったです」
–先制点のゴールシーンを振り返って下さい。
「準備してきた形でボールが入ってきましたし、僕自身はただ合わせるだけでした。ピッチに立っている選手たちが準備してきたことを共有し、ゴールという結果に結びつけられてうれしいです」
以上