○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「ホーム最終戦に向けて選手たちもコーチングスタッフも気持ちが入っていました。昨季のようにホーム最終戦を勝って終わりたい、ファン・サポーターの皆様へ勝利を届けられるようにと、我々は奮闘しましたし、無失点で勝ちきるという町田らしいサッカーを選手たちが志向してくれたと思っています。直近4試合は負けていなかった京都さんがチーム状態の良いサッカーを実践してきた中で、ラファエル エリアス選手を中心としたカウンターは警戒していた通り脅威でしたが、1・2本の危ない場面をはね返すことができました。決勝点はオウンゴールという少々ラッキーなゴールでしたが、無失点で試合を進められたことが、こういうゴールに繋がりました。優勝という言葉を使うと重くなるかもしれませんが、最終節の結果次第でどうなるか分かりません。優勝の希望がまだ残されていますし、パーセンテージにすると可能性は少ないかもしれませんが、その可能性を信じて、最後のアウェイゲームも勝って終わることができるように、チームをマネジメントをしていきたいと思っています」
–怪我明けの荒木駿太選手と中山雄太選手が終盤の途中出場で復帰しました。特に中山選手に関しては、左のウイングバック起用でした。
「中山に関しては、海外でプレーしている際はウイングバックやアンカーのポジションが多かったと聞いています。ポリバレント性を持った選手として、我々の仲間に加わってくれた選手ですが、もともと頭の良い選手ですし、どのポジションでもチームをしっかりとマネジメントできる選手です。荒木も同様に残り2試合に向けて、コンディションを上げて調整してきてくれた2人は、ケガで離脱していた分を挽回しようと、チームの勝利に貢献したいと、懸命にリハビリに取り組んできました。このタイミングで復帰したことは我々にとって、とてもありがたいことですし、最終節を勝利で終えることができるように、2人の力を借りながらチーム一丸で頑張っていきたいです」
–町田のサッカーをこのタイミングで取り戻せたことに関して、その要因を聞かせて下さい。
「結果は出なかったですが、起きている現象は自分たちで招いているものが多かったです。チームのコンセプトが散漫になったり、逸脱するようなプレーが多くなっていました。まずは問題点を整理すること、またギャンブル性を背負うことなく、無失点で抑えていくこと、そういった点を見直すことで守備から攻撃を生み出す我々が本来築いてきたベースを取り戻せました。その結果、春先から掲げてきた無失点の状況を担保しながら1-0で勝てるようなチームがよみがえりました。選手たちはプロとしてのプライドもある中で、コーチングスタッフが志向することを謙虚に受け止めて実践していることに対しては、とてもありがたい状況です。その結果、勝利を掴み取ることでこのやり方が正しいと実感できました。取り戻せたベースを元に最終節、そして来季も町田のサッカーをチームに浸透させて勝利に結びつけていきたいです」
–神戸の前半の試合経過を伝えていたのか。また最終節まで優勝の可能性が残ったことは、このクラブにどんな意味をもたらすのでしょうか。
「当初掲げていた5位以内という目標は達成できた中で、可能性があるならばACLや優勝を狙おうということを選手たちに言い聞かせながらマネジメントをしてきました。試合中に他会場の情報が入ってくる中で、鹿島さんやガンバさんが勝っているため、結果が出なかった場合は、最終節で順位が入れ替わる可能性もあるだけに、絶対に勝たなければならないと、ハーフタイムには選手たちへ伝えました。最終的に神戸さんも追いつきましたし、最後の最後まで分からないJ1リーグの拮抗した状況は、見ている方々を魅了することに繋がっています。Jリーグ全体にとっては良い循環になっているのではないでしょうか」
–ゼルビアファミリーの皆さんにメッセージをお願いいたします。
「長いシーズンの中で常に勝利を積み重ねる時ばかりではありません。夏場以降、もがき苦しんだ時期もある中で、スタジアムに足を運んで下さる方に励まされ、支えて下さったことが、選手たちの希望の光となり、最後の奮闘に繋がったと思います。応援に対する感謝の気持ちをお伝えさせていただくとともに、最終節は来季に向けても希望が持てるサッカーをしたいと思っています。さらに順位を上げることができるように頑張っていきます。1年間の応援ありがとうございました」
以上
○京都サンガF.C.:曺 貴裁監督 会見要旨
「町田さんはJ1の中でも非常に特長のあるチームです。1つ例を挙げれば、ミドルパスやロングパスの精度が高いというデータが残っているようなチームです。そういった相手に我々が勝つ可能性を高めるためには、リスクは伴うものの、前線と最終ラインの間をよりコンパクトにし、パスの出どころと速い動きをする2トップを無力化することを狙いとした戦い方は、90分を通してよくできたと思っています。その中で2つヘディングを競り負けた場面が失点に繋がったのは、抑えることができれば最高でしたが、今日のような戦い方を選手に選択させた私の責任です。後半の立ち上がりの15分ぐらいは、形を変えながら、セカンドボールを拾って相手を押し込むことができた中で最後の精度が上がっていればゴールが生まれていたかもしれません。またそこで1点を取ることができていれば、そのゴールがエネルギーとなったかもしれませんが、町田さんのGKを含めた堅い守備を最後まで崩すことができませんでした」
以上
▽選手コメント
○相馬勇紀選手

–オウンゴールでしたが、相馬選手からのチャンスメークが決勝点に繋がりました。
「個人的にプレースキックのフィーリングは良くなかったですが、前半からチャンスには多く絡めていました。虎視眈々と仕留めようと内に秘めている中で、実際に良い結果が出て良かったです」
–この2連勝の貢献度が高いのでは。
「以前も話したように、コンディションが上がっていることが大きいです。ただ今日は逆に体が軽過ぎたのか。ボールフィーリングが良くなかったので、最終節ではキックのフィーリングも上げられるように準備をしていきたいです」
–この2試合はしっかりと個人の結果に繋げることができています。
「プレーヤーとしてより強くなれていると思います。でも前半から3点ぐらい仕留められるような選手になると、もっと進化できるので、さらに自分の力を磨いていきたいと思います。こうして結果が出たのも、チーム全員が頑張ってくれました。特に(ラファエル)エリアス選手がとても良い選手である中で、相当止めてくれたのは大きかったです」
○荒木駿太選手

–怪我からの復帰戦となりました。自分のプレーを振り返っていかがでしょうか?
「急がずに時間をうまく使いながらプレーしようとしていました。復帰戦で点を取りたい意識はありましたが、優勝争いをしていますし、怪我でチームに迷惑を掛けた分も、チームを第一に考えてプレーしました。チームを第一に考えてプレーできるようになったのは、プロになってから成長できている部分だと感じています。同じ左サイドでプレーすることになった(中山)雄太くんはヘディングも強く、足元もうまいですし、やりやすかったです」
–懸命なリハビリの結果、ホーム最終戦に間に合いました。
「一言で言えば、うれしかったです。リハビリに一緒に取り組んでくれたトレーナーの皆さんへの感謝の気持ちが強いです」
以上