○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「約4万5,000人以上の方々が詰めかけた国立競技場での試合で選手たちが地に足をつけてプレーしてくれたことを誇りに思っています。またファン・サポーターの方々に感謝の気持ちを申し上げます。直近5試合はなかなか勝ち点3を取れずに監督としてもかなりの不安を抱えていましたし、選手たちも正解が分かっていても、それを見失いながら足踏み状態が続いていました。我々がやってきたことを探り探りやるのではなく、しっかりと振りきった状態でミスを恐れることなく、果敢にチャレンジすることが必要だと、何度も映像を見せて選手たちを奮起させながら、FC東京戦を迎えました。システムを4バックから3バックに変更しながら、しっかりと相手の特長を消しつつ、我々のストロングポイントを発揮していこうと多少メンバーを代え、選手たちの特長が出る形とゲームプランを構築しながら選手たちを送り出しました。選手たちがピッチで果敢にプレーしている姿が目に焼きついていますし、選手たちが「これこそが町田の魂なんだ」というものを身をもって表現してくれたと思っています。もちろんFC東京さんのファン・サポーターの方々がたくさん詰め掛けて下さったことを思うと、感謝してもし切れないシチュエーションで試合ができたことに対する感謝の気持ちを持っています。残り2試合となった中で、代表ウィークを挟んでの約3週間のインターバルでは決して驕ることなく、油断することなく、次のホーム最終戦でも勝利という同じ結果で選手たちの笑顔をお見せできるように、実直に取り組んでいきたいと思っています。また選手たちが90分間をしっかりとマネジメントし、欲しい時間帯にゴールを決められたことが勝利に繋がりました」
–システムを3バックに変更し、アンカーの下田北斗選手に荒木遼太郎選手を監視させる形を採用した意図を聞かせて下さい。
「FC東京さんは荒木選手が自由に動き回ってボールを受ける形を作ってきますし、ディエゴ オリヴェイラ選手にボールを収められると前向きに起点を作られてしまうため、そのあたりのことを警戒するために注意深く対応しました。変更したシステムの中で下田が荒木選手を自由にプレーさせず、求めたことを堅実に実践してくれました。また3バックの中央に入ったチャン ミンギュはしっかりとディエゴ選手を捕らえて、自由にプレーさせなかったことも素晴らしかったです。今日に関しては、彼らのプレーが肝になりました。自陣での守備に関しては形を変えていた中で、前半は多少の歪みが生じ、荒木選手に中央を突かれる形を作られましたが、ハーフタイムに修正したことでゾーンを敷きながらスライドをして行く形を実践できました。選手たちがしっかりと適応してくれましたし、交代選手を含めて、選手たちは良く戦ってくれました」
–今季の勝利はベストの1つだったかもしれません。この勝利の意味をどう捉えていますか。
「システムを含めて、新しいチャレンジでもありましたし、以前にスタートから3バックを採用した際はうまくいなかったのですが、今回に関しては時間を掛けて取り組んできました。前節の鳥栖戦から得たヒントをこのFC東京戦に繋げることができましたし、敗戦を前向きに捉えて取り組めたことが良い兆しに繋がりました。本来の戦うベースを発揮できずに自分たちのミスから失点をするケースが多く、改善するにも難しい状況ではありましたが、選手たちがまとまって戦うことで本来我々がやるべきベースを、勝利の方程式を見直し、試合を進められたことが今日の勝因です。今日のような戦い方が来季のベースになっていくと思いますし、しっかりと自分たちのサッカーを改めて認識しながら次の京都戦に臨みます」
–勝利のホイッスルが鳴った直後に選手たちやコーチングスタッフと円陣を組み、勝利の喜びを分かち合った際の心境を聞かせて下さい。
「連敗も1つありましたし、意図した結果を残せなかったことで不安や重圧に縛られる気持ちが選手たちにもコーチングスタッフにもあったと思いますが、これだけの大観衆の前で無失点で複数得点を決めて勝つことができたのをうれしく思っています。肩の荷物が下りたというか、今までの苦労から解放された瞬間でした。また吹っ切れた状態で残りの2試合に臨めるという第一歩を刻めたことに感動しましたし、とてもありがたいという気持ちになりました」
–黒田監督の来季続投と本来の町田を取り戻せた要因と、今日の結果はリンクしているのでしょうか。
「特に選手たちに向けて伝えたことはありませんが、発表に関してはインターネットでの情報などを通じて、目にしているでしょう。そういうことよりも、チームが一丸になることを優先してきた結果ですし、このチームで試合ができるのも、今日を含めて3試合しかないことにベクトルを向けることの方が重要です。ファン・サポーターの皆さんからの「来季もよろしくお願いします」といった声がうれしかったです。自分も吹っ切れましたし、探り探り指揮をすることは皆さんに申し訳ないという気持ちもありました。戦う姿勢を見せて走りに走らないと、勝利の女神は微笑まないという気持ちが、今日のベースとしてありました。私自身も高校サッカーの監督をやらせていただいた当時は、この国立で何度も指揮を執らせていただきました。勝利を掴み取った際はそんな気持ちで戦っていた時でしたから、そういったことが頭をよぎりながら指揮を執らせていただきました。来季の続投よりも、選手たちが1つになれたこと、自分たちのサッカーを改めて確認できたことが大きかったです」
以上
○FC東京:ピーター クラモフスキー監督 会見要旨
「自分たちのパフォーマンスが十分ではなかったことが結果に影響しました。また町田さんの方が鍵となるエリアで我々を上回ったと思います。開始30分はものすごくもったいない時間を過ごしました。その時間帯は相手のスタイルに合わせた戦い方をしてしまいました。ただ追いつけそうな時間帯を作り出すことはできましたが、残念な結果にはなりました。我々はこの結果から学ばなければなりません」
以上
▽選手コメント
○谷晃生選手

–しっかりと失点危機の場面を阻止できたことで試合の流れを引き寄せることができたのでは。荒木遼太郎選手の至近距離からのシュートも止めました。
「結果的に失点をゼロで終えられたことは良かったです。荒木選手のシュートに関しては、左足でのシュートだったので、そんなに良いコースに飛んでくるとは思っておらず、最後まで動かずに良い反応ができたと思います」
–遠藤渓太選手の長い距離のシュートも手に当てて難を逃れました。
「いつも通りの準備ができた成果です。しっかりと良いポジションを取って、良い準備ができました」
–FC東京戦は試合開始から3バックの形を採用しました。
「試合開始から3バックで行くのはおそらく(第6節)広島戦以来だったと思います。相手に合わせてマンツーマン気味に行った形ですが、しっかりと準備してきたものをピッチ上で表現できました。マンツーマン気味で行くということは、選手一人ひとりが大きな責任を背負うことになります。ポジションの変わった選手がいた中でも、選手たちがしっかりと戦い方を理解した上で実践できた結果、勝利に繋げることができました」
○オ セフン選手

–最前線で起点となった上に、ゴールも決める活躍でチームを勝利に導きました。
「我々が主導権を握っていた中でしっかりとゴールに繋げられたことが良かったです。いろいろなパターンでのゴールを決めることができるようになれば、もっと相手に脅威を与えられるようになっていくと思っています」
–追加点に繋がったご自身の得点シーンを振り返って下さい。
「相馬(勇紀)選手から良いボールが入ってくると絶対に信じてゴール前へ入って行きました。少しボールが高くて触ることはできませんでしたが、諦めずに白崎(凌兵)選手が折り返してくれたボールを決めることができました。最終的に自分が決める形になりましたが、チームとして諦めずに詰めて行った結果です」
以上