○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「国立でのホームゲームに約4万9,000人近くの方々が集まって下さったことに、我々に対する期待を感じましたし、浦和サポーターの皆様も含めて、素晴らしい雰囲気を作って下さったことに感謝の気持ちを伝えさせて下さい。我々を追いかけてくる2位の広島さんと首の皮1枚の差で首位に立っている中で、選手たちは何としても勝ちたい気持ちを表現してくれました。公式記録を見ると、17本のシュートを打ちましたが、なかなか1本が入らず、フリーの状況や無人のゴールに対してもゴールが入らない展開になりました。浦和さんはトリックプレーからのセットプレーや(チアゴ)サンタナ選手のヘディングシュートを決めてきましたし、そういったゴールシーンを見ても、彼らのスキルや技術が素晴らしかったです。やはり我々としては失点をせず、2点を取って2-0で終わるべき試合でした。チャンスを決めていれば、3・4点を取れる状況だった中で、2点に終わったことに関しては、大きな反省点として試合後の選手たちへ伝えました。後半は押せ押せムードの中、浦和さんのポゼッションを遮断し、チャンスを作りました。また(ミッチェル)デュークの競り合いからのルーズボールをフィニッシュまで持ち込む形も作れました。良い形でプランを実行できましたが、勝ち点3が遠かったです。また改めて映像を見ても、明らかにPKと見えるシーンでなぜPKをもらえなかったのか。後ろから倒されるシーンもあった中で、VARがあってもそれが流されています。レフェリーの方々には何がファウルかどうかの見解を示してほしいです。これは決してクレームではなく、平等な目で見た時に何が正しいのかどうかの回答が欲しいです。最後にエリキが決めてくれましたが、その他にも決めなければいけないチャンスがあった以上、自分たちに矢印を向けてこの先へ進まないと、今後も今日と似たような試合展開が続くでしょう。残り9試合、しっかりと町田のサッカーに立ち返り、ゴールがついてくるような試合展開にできるように、チームのコンセプトが不履行になることなく、しっかりと最後までやりきるメンタリティーを持つことが望ましいです。かなり過酷なシーズン終盤に入りますが、もう一度自分たちのサッカーができるようにチームを作っていきたいと思います」
ーーエリキ選手や藤本一輝選手ら、ここまではあまり持ち味を出せていなかった選手たちが最後の最後に結果を残しました。
「前節の新潟戦は2人を先発で起用しましたが、試合の最初から出た場合は、守備の面で割と早い段階で体力を消耗します。あのタイミングでの起用の方がスピードが生きますし、より相手に脅威を与えることができました。藤本はその場面以外にも抜け出せるシーンがあった中でゴールにはなかなか繋がらなかったですが、最後はエリキとの連係の中でアディショナルタイムに追いつくゴールを決めたことは今後に繋がる1点になりました。多くの反省材料はありますが、追いついたことをポジティブに捉えながら、前に進んでいきたいです」
ーー後半は形を変えました。狙いを教えて下さい。
「守備時と攻撃時でシステムを可変させました。攻撃時は4-4-2のままで、守備時は3バックの3-6-1あるいは3-5-2の布陣でミラーゲームのような形にし、相手に判断する時間を与えないことができたと思います。形を変えたことにより、前で潰せる回数やルーズボールを回収する時間が増えました。結果が伴わなかったとはいえ、後半は意図する展開に持ち込むことができた印象は持っています」
–後半からゲーム展開を変えましたが、前半がもったいなかった印象です。
「前半は様子見の側面もありながら、後ろでリスクを冒すことなく、一発のチャンスを取りに行く中でチャンスを作ることはできましたが、決められずにいたため、後半から形を変えました。失点をしたことで動かざるを得なかったです。前半はリードされたとはいえ、危ない場面はセットプレーでの失点シーンぐらいでしたから、トリックプレーに対する準備はしてきた中で決められたことは残念です。また集中力を欠いたことは、練習で危機感を植えつけるきっかけになりますし、改善していかなければならないことです」
–望月ヘンリー海輝選手が前半限りで交代となりました。試合前までの様子と選手交代をした意図を聞かせて下さい。
「そこまで経験のある選手ではないですが、期待を込めて、いろいろな形で起用しています。ただ重圧の掛かる試合には平常心でプレーできないメンタルの弱さもあります。日本代表という重い荷物を背負わされるような状況で試合に入りましたし、まだプレッシャーを力に変えられるような選手ではないですから難しい状況だったかもしれません。交代で起用した鈴木準弥はクロスやセットプレーの精度も高いですし、そういったプレーを期待してもいました。オ セフンやデューク、桑山(侃士)らに対して、精度の高いクロスを供給することで多くのチャンスを作れるのではないかと期待していました。ただ終盤は松尾佑介選手ら足の速い選手が入ってきた中で、守備面の不安は多少目を瞑りながらも、ボールを握ることで守備の機会を減らすこともできます。後ろの守備は昌子(源)や中山(雄太)がカバーする形で、準弥の攻撃面での良さが発揮されることにより、多くのチャンスを作ることができたと思っています」
–優勝争いが混沌としてきた中で、今後の黒田監督の心持ちと選手たちに対してはどんな働き掛けをしていきたいと考えていますか。
「過酷な勝負に挑んでいるということ、また我々はJ1初挑戦で手探り状態でシーズンが進んでいます。当初掲げていた5位以内という目標達成に向けて、1つひとつの勝ち点にこだわりながら戦ってきましたが、5月中旬から8月の最後まで首位でいられたことは、選手たちを褒め称えたいと思います。またファン・サポーターの皆様が一丸となって、我々に夢を見て、声援を送っていただいていることは、絶対に無駄にはしたくないです。1つでも上の順位に行くことを目指して今後も戦っていきます。優勝を目指すための取り組みやマネジメントはまた違ったものになりますが、プロになって1年半、まだ分からないことはある中で、自分が信じた道やマネジメントを選手たちに向き合わせる形で残りの9節を真摯に取り組んでいきます。自力優勝の芽もまだありますし、広島さんとは直接対決も残っています。また新たなスタート台に立ったつもりで、一丸となって皆様の期待している目標に向けて、地に足をつけて取り組んでいきたいです」
以上
○浦和レッズ:池田伸康監督 会見要旨
「勝ち点3を逃した悔しさしかありません。浦和に関わる全ての関係者が国立という地で勝ち点3を取ってマチェイ スコルジャ監督にバトンタッチするという強い意志を持って臨みましたが、最終的に2-2で勝ち点1しか取れなかったことに残念な思いしかありません。ただ前半は特に守備の面で町田さんの強みを消すために準備したことがハマりましたが、後半はそこを止められました。相手がフォーメーションを変えてきたことに予測がつかなかったですし、どう対応するのか、時間が掛かってしまいました」
以上
▽選手コメント
○谷晃生選手

–GKとしては悔しい2失点となりました。試合内容をどのように受け止めていますか。
「相手の決定的なチャンスは失点シーンぐらいでした。そういう状況を作り出してしまったことは反省点です。一方で多くのチャンスを決めきれなかったこと、勝負どころでゴールを決められなかったことが、勝ち点3に繋げられなかった原因となりました。首位ではなくなりましたが、まだまだ自力で優勝できるチャンスはあるので、悲観的になる必要はありません。追われる立場から追う立場になりましたが、目標は明確です。広島さんとの直接対決も残っている中で、これからはプレッシャーもなく、残りの試合を戦えるのかなと思っています。自分たちをしっかりと見つめ直して、また町田らしく戦っていきたいです」
–特に2失点目はシンプルなクロスから決められてしまう形でした。
「終盤は体力的な面が影響して、対応が多少アバウトになってしまうものですが、チームとしてやるべきことやチームの原理・原則を徹底できませんでした。またマークの付き方やクロスを上げさせない守備に対する甘さも出てしまいました」
○オ セフン選手

–久しぶりのゴールを決めた感想は。
「ゴールを決めたとはいえ、勝てなかったですし、もっと点を取れたと思いますが、決めることができなかったので、正直悔しい気持ちしかないです」
–ナ サンホ選手からのクロスをヘディングで決めたゴールシーンを振り返って下さい。
「絶対にクロスが上がってくるだろうという感覚はありました。左センターバックの選手との駆け引きに勝てば、そこを越えてくるボールが入ってくると思っていましたし、実際にドンピシャのクロスが来て、決めることができました。後半は形を変えて攻める時間帯も増えましたし、点を取れる雰囲気になっていたことも自分のゴールに繋がりました。もう1点を取ることしか考えていなかったのですが、決めることができなかったので、それもサッカーなのかなと思います」
以上