○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「守備の堅い福岡さんに対して、どうゴールをこじ開けるか。そこで悪戦苦闘した印象です。その中で何度かチャンスを作りましたが、最後のクオリティーがついてこなかったです。0-0で失点をせずに少ないチャンスをモノにしていく本来の町田の考え方をうまく発揮しながら、相手を押し出しましたが、お互いになかなかビッグチャンスまでは繋がらなかった印象を受けています。バイタルエリアやポケットを攻略するために練習を積み上げ、それを遂行できるように、これからも練習を積んでいこうと思っています」
–怪我人の影響もあってか、交代のタイミングが難しかったと思います。後半の交代策の狙いは?
「エリキが何分もつか。あるいは相手も疲弊してきた中で藤本一輝のスピードが活きると思っていました。また荒木(駿太)は1.5列目でボールを回収する機会を増やすことに長けた選手です。中盤の柴戸(海)に関しては、彼のボール奪取力から前線に早くボールを入れていくことも期待していました。守備の強化と攻撃で変化を生むために交代カードを切りました」
–終了間際に交代した望月ヘンリー海輝選手の現段階での状態は?
「まだハッキリとは分かりませんが、前回の負傷時よりは状態が良いとは聞いています。あとはこれからどれほど(足首が)腫れてくるかでしょう」
–ダブルボランチを仙頭啓矢選手と下田北斗選手の組み合わせにした意図は?
「福岡さんのかなり強固な守備を前に、中盤から前線に向けて、あるいはそのスペースに向けて出ていくためには、クオリティーを上げたいと2人の組み合わせにしました。また背後を突く配球により、3バックの裏を狙いたい意図もあったのですが、行けるところまでは先発の2人で行って、あとは柴戸(海)を起用し、クロージングしたい意図はありました。その中で仙頭の方が良く走っていたので、仙頭の方を交代しました。ただこの3人は誰が出ても、町田のチームスタイルを実践してくれる選手たちという根拠に基づき、彼らを起用しています」
–前半戦を振り返った総括はいかがでしょうか。
「FC町田ゼルビアとしては初のJ1参戦となりましたが、目標をあえて高く掲げながらシーズンを戦ってきました。その中で選手たちの成長も著しく、ここまで首位争いをしていることに驚きを隠せない一面はあります。ここまでは選手、コーチングスタッフ、チームスタッフ、クラブスタッフが一致団結し、切磋琢磨してきました。また今日の試合は9,000人を越えるファン・サポーターの皆様、町田の小学生2,000人にお越しいただきました。皆様の声援や応援が励みになっています。またいろいろな方々のご支援がありながら首位争いができることにありがたみを感じています。予想外の好成績ではありますが、これからもブレずに突き進んでいきたいと思います」
–ここまで引き分けが少ないですし、浦和戦のように引き分けそうな試合も勝ちきることができています。その要因は何でしょうか。
「日頃の鍛錬やそこに掛ける時間は、恐らく他のクラブに比べれば、ボリューム多くやっているという自負があります。また最近はアディショナルタイムでのゴールが多いのも、後半の最後の最後に点を取りきる力がみなぎっていることが最終的に勝ちきれる要因にもなっています。また今後に関しても、90分+アディショナルタイムまで点を取りきれる、走りきれるチームを作っていきたいです」
–代表の活動や怪我人によって、メンバーを代えざるを得ない状況もあった中で、どこまで先のことを考えながらチームをマネジメントしているのでしょうか。
「先を見る余裕はないのですが、目の前の一戦に向けて、18人の選手たちがベストの状態で臨めることに力を使ってきました。怪我人の回復状況を含めて、ヤキモキはしていますが、選手たちが与えられたタスクをこなせるように、誠実に向き合っています。先のことを考える余裕があれば良いのですが、我々はJ1初挑戦ですし、目の前の一戦を必死に戦う。それだけです」
以上
○アビスパ福岡:長谷部茂利監督 会見要旨
「町田さんはいくつもの強みを持ったチームですが、町田さんの強みをいくつか消すことができたと思っています。簡単に失点をせずに無失点で試合を進めながらゲームを決められそうな場面も作りましたし、ゴールが決まっていれば、100点満点の試合だったと思います。首位を走っている町田さんに対して、自分たちができることはやりましたし、できたと思います。攻撃の面は引き続き課題ですが、もっと上位へ行くために、強い町田さんに対して試合で勝つことが足りませんでした。次回の対戦の時は勝利を掴めるように、これからも積み重ねていきたいと思います」
以上
▽選手コメント
○谷晃生選手

–38分にCKからの小田逸稀選手の決定的なヘディングシュートを止めました。
「小田選手がニアに入ってくる形は情報として入っていましたし、相手がその形から点を取っていることも把握していました。ニアにボールが入ってきた瞬間に良いポジションを取れたことで良い反応ができました。ポストが近くにあると、弾く方向は難しくなるものですが、自分はもうあの形で弾くのが精一杯だったので、仙頭選手がカバーしてくれたことで助かりました」
–最後尾から見ていても、なかなか相手の穴が開かないような印象だったのでしょうか。
「そうですね。そういう展開になることは想定していましたが、なかなか難しかったです。前線で危険な位置にボールを入れることができればとは思いますが、ボールを差し込んだ後、奪ったボールをカウンターにつなげる形は、福岡さんのストロングポイントでもあります。そのストロングポイントを尊重していたことも、差し込むようなパスを入れられなかった原因になったかもしれません」
○平河悠選手

–90分を通じて、手堅い福岡を相手にどんな感触が残っていますか。
「リーグ内でのボール保持率が低いチーム同士の対戦だったので、手堅い試合になることは分かっていましたが、崩されてもいないけど、崩してもいない試合展開になりました。枠内シュート自体も少なかったですし、ポケットを取る回数も少なかったことが、自分自身のチャンスメークの数に表れていました。その中でも個人としては自分にできることを考えながらできたと思いますが、こういう相手をどうこじ開けるかはチームとしての課題です」
–福岡戦で一巡目の対戦を終えました。ここまでのプレーを振り返っていかがですか。
「初めてのJ1にしては、自分の特長を出せていますし、想定していたよりは通用していると思います。チームとしても思った以上の結果が出ていますし、慢心してはいけないですが、個人としても、チームとしても、良い成績は残せていると思います」
以上