○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「試合に向けての懸念材料は、前節の浦和戦に勝ったことでの気の緩みが出るかもしれないということでした。そうならないように、準備期間にはかなり厳しい口調でチームの手綱を締める働き掛けをしてきました。常勝チームはこういった試合で勝ちきるものです。我々は新参者ですが、優勝経験のない選手たちがこうした気の緩みを見せるようでは、まだまだという印象を持っています。立ち上がりから体の重さというか、硬さというか、出足で相手に上回られていました。「これはそのうち失点をするな…」という失点が予測できる展開になっていましたし、カウンターからの2失点はフッと抜けている場面や曖昧な守備が目立っていました。そんな前半でした。後半はチームが息を吹き返せるように、スタートからナ サンホをピッチへと送り出しましたが、立ち上がりに不運なオウンゴールがあったことで、それがチームの士気の低下に繋がった印象を受けています。そういう試合の流れを作り出したことは自分たちに原因がありました。終始町田らしさが出ていませんでしたし、一言目で「町田らしくない」、そんな言葉が出てきても仕方がない試合でした。この後はルヴァンカップや天皇杯が続きますが、ギラギラした選手たちが控えていますので、彼らにチャンスを与えて、勝ち上がるためにはどんな選択が良いのか、考えていきたいと思っています。町田というチームにはレギュラーポジションはありません。もう一度、選手間で競争をさせながら、リーグ戦という意味では次のマリノス戦に向けて、チームを再構築をしていきたいです」
–藤本一輝選手が前節の浦和戦に続いて、前半のみで交代となった意図は?
「もともとの性格なのか、割と無口で周りとの連係が苦手なのか、もともとそういうことを得意としていない選手ではありますが、奮起するという意味での物足りなさも感じました。浦和戦でもそうですが、相手の圧力に対して屈してしまい、そうなることでミスが増えてしまいます。武器であるスピードを生かしてどんどん相手に圧力を掛けることをやってほしいのですが、守勢になった時にはなかなか持ち味が出せません。そういったことを踏まえて、左サイドでも右サイドでもプレーできるし、シュート力もあるナ サンホを起用することでエンジンを掛け直したほうがいいだろうと、ハーフタイムでの交代という選択をしました。藤本はまだまだ、70分ぐらいまでプレーできる準備が整っていない印象を受けています。
–「失点するな…」という危機感があったとのお話でしたが、具体的にはどの現象の時にそう感じたのでしょうか。
「1つは球際ですね。球際で相次いで新潟さん側にこぼれるシーンが多かったです。それは立ち位置の問題なのか、出足の問題なのか、精神的にアラートでいるかどうかも含めて、新潟さんの方がアラートな状態だったために、相手に拾われる状況が多かったと思います。こうした現象は湘南戦でも見られました。フワッと試合に入ってしまい、このままいけばまずいなという感覚を覚えました。最終ラインでも競り合いに負けて、セカンドボールを拾われた上に、またボックス付近まで進入される勢いを相手に与えることもありました。どこかで切るプレーが必要ですし、しっかりとセカンドボールを回収できる状況を選手たちが話し合って作っていかないと、やっぱりこういう試合展開になります。一度追いついた中で、せめて1-1で後半に折り返すことが理想的ではありましたが、終始こぼれ球に対してのアプローチが曖昧でしたし、帰陣するという意味で、2失点目は藤本の戻りも遅かったです。最後まで町田の守備を志向してくれれば良かったのですが、集中力が切れている状態は特に前半に多く見られました。こんなことをやっているようではいけませんし、1点を取った後にギアが上がると思いましたが、そのあたりのギアチェンジもうまくいっていませんでした」
–今季最多の3失点という現実は重く受け止めていますか。
「今までの試合の中でも最終ラインのアラートさが欠けていましたし、体が重いままで試合に入っていました。我々はこの試合の教訓を活かさなければなりません。完全に修正する形でリーグ戦の次節の横浜FM戦に臨まないと、何点取られるかは分かりません。時間はあるので、人を代えながらできることをやっていきたいですし、選手選考で刺激を与えていきたいです」
–精神的な面が影響した結果なのかもしれませんが、戦術的や技術的な面での敗因は何かありますか。
「心・技・体が全てであって、その順番がそのまま重要性を表しています。心の部分が疎かになれば、技術や体力もついてきません。アラートな状態で勝ちたい気持ちが出ればセカンドボールを拾えると思います。ただ根本的な部分を修正することができれば、またインテンシティーの高い、どんどん背後を突く町田らしいサッカーができると思います。また序盤から新潟さんは帰陣するスピードも速かったですし、あえて我々にボールを持たせる時間も作ってきたことで、磐田戦と同様にまんまと相手に嵌められた印象を持っています。また1本中の1本のチャンスを決めることも含めて、まだまだ甘さが見える試合でした」
以上
○アルビレックス新潟:松橋力蔵監督 会見要旨
「町田の地まで我々の日本一のサポーターの皆様が駆けつけて下さったエネルギーを感じましたし、選手たちも皆様の声援を受け取って、選手たちがピッチの中で90分間戦い抜く要因となったことに感謝の気持ちを申し上げます。5連戦の疲れもなかなか抜けない中、正直準備期間は良い時もあれば、悪い時もありました。そういう準備の4日間でしたが、勝利を掴むために、選手たちはタフに戦ってくれた結果、こうして勝つことができました」
以上
▽選手コメント
○仙頭啓矢選手

–連勝が続いている中で気の緩みが出たことは、結果に影響したのでしょうか。
「試合に向けた練習の中でも黒田剛監督をはじめ、コーチングスタッフからも気の緩みに関しての指摘はありました。選手としては気の緩みはなく、勝ちに行く気持ちでプレーしていましたが、相手があってのことなので、結果的にはそう見えるかもしれません。ただ前半もそんなに悪い印象はなかったです」
–あれよ、あれよと前進される場面もありました。
「ボールが相手に当たってこぼれることで相手のリズムになりましたし、例えば1失点目もそうだったように、ハッキリとプレーを切るとか、プレーをまとめる必要はあったと思います。そういった展開が多かったことで相手に流れを持って行かれてしまいました」
○望月ヘンリー海輝選手

–3枚代えの1枚として、後半の序盤からの交代出場となりました。
「1-3の状況で3人を交代するということは、「まずは何が何でも1点を取ってこい」というメッセージと受け止めていました。まずは追いつこうという気持ちで試合に入りました」
–途中から試合に入るにあたって、コーチングスタッフからの指示は?
「僕が基本的に高い位置を取って、ハイボールを競ることで起点を作ったり、積極的に仕掛けてクロスを入れるとか、反対サイドのクロスに飛び込むとか、得点に直結するプレーを求められていました」
–ゴールには繋がらなかったですが、鋭いクロスボールを入れる場面もありました。
「最初に入れたクロスの場面は良かったのですが、エリキ選手からの落としを受けてからのクロスは相手に引っ掛かってしまい、チャンスを潰してしまいました。中の選手に確実に合わせられるように、技術レベルをもっと上げていきたいです」
以上