○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「試合の入りから浦和さんの圧倒的なサポーターの力が選手に乗り移り、その圧力に屈すればひとたまりもない展開になると、選手たちを奮い立たせました。また首位ではありますが、これを維持しようとか、弱気になって戦うことは、先頭集団が団子状態になることに繋がるし、平凡なチームにはなりたくないと、ここでもう1つ力を発揮することが今後の首位争いに影響してくると伝えて、選手たちを送り出しました。また今日は私の誕生日だったので、なんとしても勝利が欲しいと、もうひと盛り上がりを作って、選手たちを送り出しました。試合開始からボールを持たれるケースは多かったですが、帰陣を早くし、センターを空けずに守ることをパーフェクトにやってくれた印象を持っています。前半もそんなに相手にシュートを打たせませんでした。勝ち急がず、取り急がず、勝負どころでチーム皆のベクトルを合わせて一気に畳み掛けていこうとハーフタイムには伝えました。焦れずに最後まで粘り強く戦えば、最後に良いことが待っているということを選手たちが信じて、良く走ってくれました。アディショナルタイムにはナ サンホが1対1を仕掛け、相手のファウルを誘った場面を見れば、経験のある選手が最後の最後で仕事をしてくれました。さらにPKは(下田)北斗がしっかりと決めてくれましたし、総力戦で選手1人ひとりが仕事を果たしてくれました。その結果、チームとしての勝利を掴むことができました。この埼玉スタジアム2002は私が青森山田高を率いている当時から、高校選手権の準決勝、決勝を戦ってきた舞台です。またピッチに立った浦和さんの武田英寿も私の教え子という経緯もありますが、その武田と同じピッチで試合ができたことも感慨深くうれしい出来事となりました。慣れ親しんだ埼玉スタジアムではありますが、浦和さんのサポーターに囲まれると、やはり迫力が違うなと感じました。こういう環境で試合をさせていただいたことに感謝すると共に、また次節の新潟戦に向けて、ネジを巻き直して準備をしていきたいと思います」
–下田選手を先発で起用し、最後までピッチに立たせた理由とPKのキッカーを務めた経緯も合わせて聞かせて下さい。
「昨年からもそうですが、PKに関しては試合前から決まっていたことですし、北斗がピッチに立っている限りはキッカーを託すことに決めています。ただ私の中での迷いはなかったのですが、本人は「足をつりかけているので…」と弱気になっていました。そこで北斗には「水を飲んで深呼吸をすれば大丈夫だ」と伝えていた中で決めてくれました。本来の先発メンバーである柴戸海は浦和さんからの期限付き移籍であるため、契約上の理由で出場できませんでしたが、ボール奪取に長けた選手が不在だったことは頭が痛かったです。ただ北斗は自分の役割を自覚し、ベテランの力で柴戸の不在を埋めてくれたと思っています。北斗が入ることで左足のキックという武器が増えることになるため、先発で起用しました。また仙頭(啓矢)は警告を受けていましたし、最後は強度の高い宇野禅斗を起用して、失点をせずに試合をクロージングさせる狙いで途中から送り出しました」
–選手交代がうまく嵌まる形で最後の最後に勝ち越せた印象です。交代策の狙いを聞かせて下さい。
「立ち上がりから藤本一輝が抜け出す形を作れていましたが、クロスの精度なども欠いていたことでミスが多かった印象です。平河(悠)のサイドもかなり警戒されていましたし、もう少し左サイドからのチャンスメークを増やしたいという狙いでナ サンホを起用しました。またナ サンホは左でも右でもドリブルはできますし、タメも作れる選手ですが、高さという意味では担保できない懸念材料はありました。ただ苦しい時に背後を突くことでチームを助けてくれるだろうと、後半のスタートから起用しました。その後は前線のミッチェル デュークやエリキ、そして中盤の選手をどのタイミングで起用するか、模索していました。相手にボールを持たれる時間が増える中でプレスを掛け、背後を突いていきたいと、75分ぐらいが交代のタイミングかなと結論づけました。最後の1枠は何があっても良いようにヘンリー(望月ヘンリー海輝)を残しておきました。またもう1点を取りに行こうと高さのあるヘンリーを起用し、背後を突くスピードも活かそうという狙いではありました。ここ数試合は交代策がうまく結果に結びついていますし、または前から行く町田のサッカーのギアを入れ直すために、相手の最終ラインに脅威を与えるという意味でも、交代出場の選手が背後を突こうとするポジションを取ることを担保しながら、町田のサッカーを続けていくという狙いの下、交代策を打ち出しました」
–試合後にサポーターの皆様から監督の誕生日をお祝いするハッピーバースデーが歌われました。それを聞いた感想をお願いいたします。
「2,000人の方々が詰め掛けて下さった中で、相手のサポーターにも負けない声援を送って下さったと思っています。ハッピーバースデーが聞けたことはこの上ない喜びですし、感謝の気持ちでいっぱいです。また埼玉スタジアムで聞けるのはなかなかない機会ですし、浦和のサポーターの方々が試合の雰囲気を作って下さったことにも感謝をしたいと思います」
以上
○浦和レッズ:ペア マティアス ヘグモ監督 会見要旨
「町田さんには「おめでとうございます」と伝えたいと思います。今日はトップと言えるようなレベルの試合でした。2つの良いチーム同士の対戦で、前半の我々の守備はほぼ完璧だったと言えるでしょう。行ける時はハイプレス、行けない時はブロックを組む、奪ったらカウンターという流れができていました。その後はボールロストと対応が良くなかった流れで失点をしてしまったことが悔やまれます。同点に追いついた後は、勢いに乗った中でクロスから2点目を取るチャンスがありましたが、ラストサードのところの質を上げないといけません」
以上
▽選手コメント
○平河悠選手

–久しぶりのゴールを決めたことについては、どう捉えていますか。
「ゴールから遠ざかっている分も、そのことは意識していましたが、チームのために走っていればチャンスは必ず来ると思っていました。それが結果という形になって良かったです。今日の試合の重要性は皆が理解していましたし、試合前に(昌子)源くんが4万人を黙らせようと話していた中で、勝利を掴むことができましたし、黙らせることができたと思います」
–相手に警戒されている中でもコンスタントにチャンスを作っている印象です。
「ほぼ毎試合のようにチャンスメークはしていましたし、それが数字には繋がっていなかったですが、ネガティブにならずに自分の価値を出すことに集中していた結果、今日のような結果を出すことができました。1点は取れましたが、慢心することなく、今日以上のパフォーマンスを次の新潟戦でも発揮したいと思います」
○ナ サンホ選手

–後半スタートからの途中出場でした。どんなプレーをしようと心掛けて試合に入っていきましたか。
「前半を見ていると、チームの皆が我慢をしながらハードワークをして試合を進められている印象を受けました。相手のビルドアップに苦しんでいましたが、後半もそうした展開は続くだろうなと思っていました。その中でカウンターを仕掛ける機会があった際には、しっかりとゴールという形で仕留めていこうと考えて試合に入りました」
–終了間際のPK奪取の場面を振り返って下さい。
「(平河)悠から良いボールが来ましたし、自分が欲しいタイミングでボールが来ました。ボックスの中に入った後に相手の足が掛かる形になって、PKを取ることができました」
以上