○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「風の強いゲームとなった中で、立ち上がりから相手の方がインテンシティーの面で上回っていたという印象を持っています。本来であればそれは我々の強みですし、もっとセカンドボールの回収率を上げていかなければいけません。またハードな守備から攻撃に繋げていく形がなかなか嵌りませんでした。1カ所サボるところがあったり、切り替えが遅くなることで相手に抜けられる形を作られてしまいます。個人の意識がまだまだ足りないという認識でいます。後半に向けては攻撃のメンバーを代えていくことでギアチェンジを図る意図もあった中で、チャンスも作りましたが、VAR介入によるオフサイドの判定で幻のゴールとなる場面があったことで、最終的に得点を奪うことができませんでした。3試合連続のクリーンシートで終われたことは評価できますが、まだまだ我々が目指すところは上にあります。次のC大阪戦に向けて、この試合で果たせなかったことを反省し、局面で後手に回ってしまったことを選手たちに言い聞かせながら、強度を上げる練習を積んでいきたいと思います。その上で次のホームゲームに臨みます」
–いろいろな選択肢がある中で、エリキ選手の途中起用を85分まで引っ張った理由を聞かせて下さい。
「藤尾(翔太)を途中から起用していましたし、オ セフンの代わりはミッチェル デュークだと考えていたことでなかなか交代カードを切ることができませんでした。平河(悠)を代えるタイミングでエリキを起用しない限り、なかなかバランスは掴めないだろうと交代はしませんでした。0-0という試合展開でしたし、先に仕掛けていくことで前からのインテンシティーが落ちてしまう結果、不覚を取ることもあるだろうと、できるだけ相手が疲弊してきた時間帯で背後を狙う方が効果的だろうという判断もありました。また守備の連動性や強度も担保しながら時間を進めていくには、あの時間帯が良いかなという判断を下しました」
–前節の京都戦に続き、試合の入りが良くなかった原因は?
「風の影響でボールの目測を誤ったことも影響したのか、あるいは相手が右サイドを狙ってきた中で、特に右サイドでは相手と入れ替わられる状況を作られることが多かったです。ボックスの外からシュートを打たれてしまう状況も作られていましたし、足が動いていなかったことはこの試合の大きな反省点です。仮にあの時間帯に失点をしていれば、より難しい試合になったでしょうし、前半は追い風だったので、もっと押せ押せでイニシアティブを握って強気に行くべきでしたが、チームとして機能していませんでした。17位の湘南さんが崖っぷちに立たされているという気持ちと、町田を食ってやろうという勢いに呑まれた印象を持っています。そうなってしまったことは我々の甘さと捉えて、次のゲームで引き締めていきたいです」
–ハーフタイムにはどんな声掛けをされたのでしょうか。
「相手に球際でも上回られているし、何もしていないと。気持ちが出ていないことも含めて、ゲキを飛ばしました。少しセフン一辺倒になっていましたし、外回りをしながらセフンまでボールを展開していく形が必要でした。焦点が一つになりがちというか、楽をする思考が見えましたし、ワイドの選手を使って相手を分散する作業が必要でした。サイドで数的優位を作っていくこともそうですし、スペースが空きやすい3バックの裏をもっと有効に使わないといけないのに、前半はそこを狙う選手も少なかったです。また最終ラインからのロングフィードが多かったですし、少し楽をしてしまったという印象を持っています。やるべきことを整理し、相手が嫌がることをやるべきだったというのは、次の試合に向けての反省材料でもあります。ただ結果として、勝ち点1を持ち帰られることは、ポジティブに捉えたいと思います」
–藤尾選手がベンチスタートだった理由を聞かせて下さい。
「藤尾自身も練習からとても頑張ってアピールをしていましたが、この2試合を踏まえて、荒木(駿太)を先発から外す理由にはならなかったということです。この2試合で1ゴール2アシストという成果を残していた選手を起用することもコーチングスタッフの仕事です。もちろん荒木もやってくれるだろうと期待を持って先発で送り出しました。また藤尾も後半の途中から起用することでフレッシュに行けるだろうと判断しましたし、長いリーグ戦を踏まえて、いろいろなことを模索している中で、荒木の調子が良かったために先発で起用しました」
以上
○湘南ベルマーレ:山口智監督 会見要旨
「強風下での試合という難しさがある中で、風下の状況ではなかなかマイボールにすることは難しかったですが、相手のことを理解して我慢をできた前半でした。後半はもう少し攻撃面で落ち着きは欲しかったですが、90分を通して、選手たちは良く戦ってくれましたし、無失点に抑えられたことは前向きに捉えられる結果です。試合後の選手たちには無失点で抑えることはベースにしていこうという話をしましたが、自分たちの良さを思い出せるゲームにもなりました」
以上
▽選手コメント
○谷晃生選手

–試合の入りから相手にチャンスを作られる中で、谷選手のセービングが光りました。
「シュートを打たれることに対して、良い準備ができた成果かなと思います」
–立ち上がりから相手にチャンスを作られてしまった原因は?
「ボールホルダーの判断とセカンドボールを拾う選手たちのポジショニングや、チーム全体のプレーの共通認識とか、少しずつ噛み合っていなかったという印象を持っています。また相手の方がシンプルに出足が早かったです。強い風が吹いている気象条件の中で適切なプレー選択をすることも足りなかったかなと思います」
–前節の京都戦も試合の入りが良くなかったことを踏まえて、試合の入りの改善を意識した中でも改善できなかった原因は?
「相手もいることなので、必ずしも事前に意識している通りの展開にならないのはある程度仕方がないのかなと思います。勝てなかったことが残念ではありますが、いろいろと改善点がある中で、負けて修正するのではなく、最低限の勝ち点1を得て、改善できることは前向きに捉えられると思います」
○藤尾翔太選手

–後半からの途中出場でクロスバー直撃の惜しいシュートシーンがありました。
「少しクロスが高かったので、片足でジャンプをして頭に当てました。決められずに悔しかったですが、アップの時点でしっかりと体を動かしていましたし、途中出場での試合の入りは問題がなかったと思います」
–自分が入った際はどんな形で湘南を崩そうとイメージされていましたか。
「きれいなサッカーで崩すことは難しいので、セカンドボールを拾う展開からとか、相手が中央でボールを持つので、そこで相手からボールを奪ってカウンターを仕掛ける形を作ることは狙っていました。(途中から右サイドハーフにポジションを移した後は)逆サイドからのクロスに入り込むことをイメージしていました」
–最終的に点を取る上で足りなかったことは?
「チャンスの数自体が少なかったですし、特に前半は相手にセカンドボールを拾われる回数が多かったことも攻撃をする機会が少なかった原因だと思います」
以上