○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「前節の柏戦の良いイメージをしっかりと継続させること。また我々がさらに強くなるためには、藤尾翔太や平河悠が五輪予選から戻ってきたように、チーム内の競争を熾烈にしていくことが必要だということを強調してきました。一瞬でも動きをサボることや走行距離が伸びないようなことをした際は、もうポジションはないというぐらいの刺激を受けて選手たちが奮闘した試合でした。立ち上がりはお互いに緊迫した状況だった中で、押し合うような時間も続きましたし、あるいは我々にとっては危ない局面もありましたが、次第に落ち着きを取り戻して町田のサッカーに持ち込めたことが今日の試合で一番良かった点です。荒木(駿太)のアシストからオ セフンが先制点を奪い、後半に向けて1-0で失点をせずに折り返せたことが後半に大きく崩れることのない試合運びができた要因になりました。後半の途中から藤尾や(ミッチェル)デューク、エリキといった選手をピッチに送り出せる喜びを感じました。クリーンシートで終えられたことを含めて、本来町田が目指すべきサッカーを選手たちは表現してくれました。常勝チームを作っていくには維持、継続していくのが一番難しいことですが、次節の湘南戦に向けて、しっかりと良い準備をしていきたいです」
–後半はリードしている状況にもかかわらず、攻撃的な選手をピッチに送り出しました。
「京都さんがハイラインだったため、徹底して背後を突き、ラインを押し下げることで相手の攻撃の半減に繋がるだろうと思っていました。サイドハーフの選手はプレスバックをすることで疲労も出てきますし、そうした選手を入れ替えることでフレッシュな状態を継続するという狙いを持った選手交代をしました。そうした選手交代も功を奏したと思います」
–U-23代表組の藤尾選手と平河選手の途中起用は、時間限定だったのでしょうか。
「ウズベキスタンとの決勝戦は平河が20分程度、藤尾が60分程度の出場だったことを踏まえると、平河の方が少しはコンディションは良いのかなと思っていました。2人は前日練習の時からギラギラしていましたし、彼らは自分たちのポジションがなくなっているんじゃないかというぐらいの危機感を持っていたようです。そうしたメンタリティーを活かしながら、奮起させることで選手たちは100%のパフォーマンスを出すことに注力できると思っていましたし、彼らがいることによってチーム全体も前向きにプレーできます。後ろがしんどい時に背後に走ってくれるのはとても良いことなので、これからも1つのオプションとして考えていきたいと思います」
–開始16分ぐらいに黒田監督の方から柴戸海選手に対して、中央を閉じるような仕草をする指示を出していたように見えました。そのあたりは序盤で気になった点だったのでしょうか。
「ちょっと出ていくケースが多かったなという印象です。どちらかと言うと、仙頭(啓矢)の方が中を締めて、相手のインサイドハーフの選手が背後を抜け出す形に対して、仙頭がついていったものの、柴戸が前に出過ぎていた印象を受けたため、そういった指示を出しました。柴戸と仙頭の位置が本来の狙いとは違って反転するような形になっていたので修正した形です。柴戸に対してはあまり前に行かずに中央でしっかりと相手の攻撃を押さえるように促しました」
–カウンターからの先制点は、柴戸選手のボール奪取が起点になりました。
「柴戸の嗅覚が発揮された場面です。真ん中にいることで柴戸の力を発揮できますし、我々の意図する形でボールを奪い、ゴールに繋げることができました」
–相手が7人の先発メンバーを入れ代えた中で町田は柏戦と同じ先発メンバーで臨みました。それでも相手よりエネルギッシュに戦えた要因は?
「前線は選手の駒もいたため、先発で出た選手には「前半で体力を使うぐらいアグレッシブにプレーしてほしい」という話をして奮起してもらいました。今後も中2日や中3日の試合がある中で、選手たちを甘やかすことなく、体力を今後向上させるためにも、試合間隔が短い中でもしっかりとしたパフォーマンスを出す必要性を選手たちに伝えてきました。もっと逞しくなるためには同じ先発メンバーで戦うことがふさわしかったですし、後から藤尾や平河、デューク、エリキを起用した方が相手は嫌だろうという采配をしました」
以上
○京都サンガF.C.:曺貴裁監督 会見要旨
「町田さんが首位にいる理由は、ハッキリと分かっていました。相手に休みながら試合を進められるようなことがないように、できるだけロングスローの機会を減らして、相手陣地でプレーできるようなプランを持って、選手たちを送り出しました。立ち上がりにロングスローの機会が多く、少し肝を冷やしましたが、実際にチャンスを作りましたし、町田さんのどこが弱いのか。そのあたりを認識しながら選手たちはプレーしてくれたと思います。1失点目も2失点目も中央から攻略しようという中でパスを引っ掛けてしまい、失点に繋がっていることは、町田さんからすれば、狙い通りの形でしょう。前半で1点を取れないと、なかなか勝ち点に繋がらないことを実感するゲームとなりました」
以上
▽選手コメント
○平河悠選手

–試合後の会見で黒田剛監督が「前日練習でギラギラしていた」というお話をされていました。
「プレーするからには試合に出るために最善の準備をしてきました。フライトの間は寝ないようにして、日本に戻ってきてから睡眠を取るような工夫もしました」
–実際の試合は後半のスタートからの途中出場でした。
「マックスの出場時間で45分、あるいは短くて20分ぐらいかなと思っていました。前半の流れは1-0でしたが、相手の方が出足は早い印象でしたし、かなりオープンな展開になっていたため、お互いに中2日のゲームで疲労感のある試合だったのかなと見ていました。途中出場ということで、自分のところで質の高いプレーをすることや自分の特長を発揮できれば、自ずと得点に繋がると思っていました」
○ミッチェル デューク選手

–今季初ゴールを決めた心境を聞かせて下さい。
「プレータイムが限られていましたが、多くのプレータイムがあった中でゴールを決めることができてうれしいです。60分から出場できた中で多くのプレータイムがあればゴールという結果を残せることを証明できたのもうれしいです。中2日の試合で厳しいコンディションでしたが、みんなで頑張ることで結果を残すことができました。ベンチメンバーを見れば、私もエリキも(藤尾)翔太も(平河)悠もいたので、相手もなかなか難しい試合になるのではと思ったことでしょう」
–FKの展開から決めたゴールシーンを振り返って下さい。
「(鈴木)準弥から良いボールが来て、セカンドボールをシュートに結びつける形でした。良いボールが入ってくればゴールという結果に繋げることができるので、キッカーの準弥にも感謝しています。これからも良いボールを供給してほしいです」
–初ゴールを決めたことでホッとした気持ちもあるのでしょうか。
「プレータイムをもらえれば、結果を残せると思います。U-23代表組も帰ってきましたし、チーム内の競争は熾烈です。それでも、もっと出場時間を伸ばしていきたいです」
以上