○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「前節の広島戦の敗戦から様々なことを学ばせていただき、それらを改善して今節を迎えるべく、練習に取り組んできました。広島戦はボールに対する出足が遅かったり、ルーズボールの回収率も相手に上回られるような展開になったことは、我々の懸念材料と捉えながら試合に入りました。立ち上がりから前線の規制、相手にバイタルエリアまで運ばせないような守備、また切り替えの面で相手との差を選手たちは見せてくれました。前半は1点こそ入りましたが、他のチャンスを決められなかったことは不安材料になりました。後半は相手にボールを保持される中で、背後に抜け出されレッドカードを提示される形になりました。まだ時間も残されていたことで難しい局面にはなりましたが、昌子源が入ったことで最終ラインをしっかりとまとめてくれました。交代選手も含めて、最後まで集中力を切らさずにゴール前ではじき返してくれました。次の国立競技場での試合に向けて、五輪予選で藤尾翔太や平河悠は離脱しますが、今日の試合を勝ったことにより、ポジティブな状況で迎えられます。集中し準備をしていきたいです。最後に1,800名のファン・サポーターの方々にお越しいただいたと聞いています。我々の背中を押して下さったこと、苦しい状況でも勇気を与える後押しをしていただいたことに感謝の気持ちを伝えたいです。ありがとうございました。来週の国立での試合に向けても、皆様に笑顔で帰っていただけるような準備をしていきたいです」
–退場者を出した後、1-0で逃げ切るためのプランを聞かせて下さい。
「5-3-1の形でできるだけ前でプレーする時間を増やしたかったです。今日と同様に開幕節のG大阪戦でも10人になりましたが、退場者を出した後の状況の練習をしてきていませんでしたし、効果的な交代策を打てなかったので、たとえ退場者を出したとしても、前からプレッシャーを掛けて、ルーズボールを回収していく流れを作っていく練習もいくつかしていました。また相手に放り込まれた場合は逆に我々の強みが出ると思っていましたので、最終ラインに放り込まれる形は構わないという中で試合を進めることができたのは良かったです。落ち着いて昌子を中心に対応できたことは、チームの成長に繋がると思っています」
–前半は一方的な試合になると、後半は相手の出方も変わり難しい状況になったかもしれません。実際にどう見ていましたか。
「川崎Fさんは平河をマークすることに重点を置いてきたのか、藤本のサイドが手薄になっているように感じ、前半に点を取ることができました。本来の主力と目される選手たちが後半に向けて準備を進めていることは分かっていました。サッカーである以上、1点を守りきろうと守勢になりがちですが、そうならないことは意識づけさせました。また平河がもう少し前向きでプレーできるようにしたかったのですが、かなりマークをされていたので、後半に向けては少し修正をしました。絶対に守勢にならずに攻勢を仕掛けるように、選手たちには指示を出しました」
–ゴールを決めた藤尾選手や平河選手は、この試合を機にU-23代表の活動でチームを離脱します。
「藤尾に関しては、広島戦で良いプレーを出せなかったことは本人的にもショックだったかもしれませんが、平河を含めて、2人を良い状況で送り出すために勝って終わろう、そして彼らにしても結果を残してカタールに行きたいという気持ちもあった中で、実際に結果も残し、チームとしても勝って送り出せることをうれしく思います。約1カ月間、彼らがいない間でも怪我人を回復させながら、残っている選手たちでまた士気を高めて今後の試合に臨みたいです。日の丸を背負ってプレーする以上責任を伴いますし、国民の皆さんの期待もあると思います。それだけの責任を感じ、実際にプレーで表現してほしいと思います。ただ2人は我々の攻撃の軸なので、親心としては怪我なく戻ってきてほしいです。2人の活躍には期待をしています」
–トラッキングデータの走行距離も出ていますし、3ゴールはチームトップです。藤尾選手の成長具合をどう思っていますか。
「町田に加入してきた時は華奢だったのですが、平河も含めて、真摯に体作りに取り組み、相手の激しい守備に対しても耐え切れる体を作り上げました。背後へ抜け出す動きや、ダイアゴナルランを武器として磨き上げたことで藤尾の良さが出てきました。我々が志向することを実践していますし、持ち前の明るさで日々の練習に取り組むことにより、周りの信頼も確立されていきました。この1年で藤尾は大きく成長してくれました」
–次の神戸戦はU-23代表がいない上に、谷晃生選手が出場停止になります。そうした難しい状況で迎える神戸戦はどんな準備をしていきたいですか。
「その状況をいかにしてモチベーションに変えられるかだと思っています。心理的には不安でしょうが、結束力を高める上では昨年のエリキが負傷離脱した時のように、逆に結束するチャンスでもあります。誰が入っても町田らしいゲームをできるように、チームを再構築していきたいです」
以上
○川崎フロンターレ:鬼木達監督 会見要旨
「多くのサポーターの方にお越しいただいた中で、勝利をお見せすることができなかったことを申し訳なく思っています。特に前半から自分たちから仕掛けるアグレッシブなサッカーをしなければいけなかったです。もっと自分たちの形を推し進める状況で試合に入らせることができなかった自分の反省もあります。最後の最後までゴールを奪えませんでした。自分たちの質が足りず、ちょっとしたプレーのズレが多かったですし、泥臭くでもプレーしないと点は取れないので、そのあたりのことを次の試合に向けて修正していきたいです」
以上
▽選手コメント
○藤尾翔太選手

–藤尾選手による先制点がチームを勝利に導くゴールとなりました。
「僕がゴールを決めて勝つことができたのはうれしいですが、他にもチャンスがあった中で決めることができませんでした。全部のチャンスを決めることができていれば、3点や4点が入った試合です。1試合で複数得点を取ることは課題なので、自分を見つめ直していきたいです」
–貴重な決勝点の場面を振り返って下さい。
「(仙頭)啓矢くんから(藤本)一輝に良いボールが入って、僕の方が相手よりも先に触れる状況でしたし、良いボールが来たら決められると思っていました。あとは思った通りのボールが来て、決めるだけでした」
–この後はU-23代表に合流します。
「自分自身ゴールを決めることができて、流れに乗れると思いますし、良いメンタルで代表に合流できます。五輪出場権獲得に向けて頑張ってきます」
○福井光輝選手

–J1初出場を果たした上にチームが勝つこともできたので、ダブルでおめでとうと言える状況ですね。
「ありがとうございます。シンプルに最初は緊張していましたが、自分がやってきたことを信じて、ここまで練習してきたつもりですし、練習してきたことを出せればと思ってプレーしていました。その中で実際にチームの勝利という結果にも繋がってうれしいです」
–右サイドからシュート性のクロスが入ってくる中でも、冷静に対処できていました。
「日頃の練習から仲間と切磋琢磨してきましたが、僕1人で守ることはできないです。カバーしてくれる味方もいたので、思い切って対処することができました」
–次節の神戸戦はスタートから出るチャンスがあるかもしれません。
「何があるかは分かりませんが、日頃から出る準備をしています。また同じ準備を続けてその先に出場するチャンスがあれば、チームにとってのプラスワンとなる仕事をしていきたいです」
以上