○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「私の生まれ故郷であるこの札幌でJリーグ最高峰の試合の指揮が執れることをうれしく思っていました。また約300名の町田サポーターの方々も駆けつけて下さったことに感謝の気持ちを伝えたいと思います。さらには札幌のサポーターの皆様も温かく迎えて下さったことに対しても感謝を申し上げます。試合に関しては、我々が2連勝していることに対して、半信半疑の声もあったかと思いますが、ここで3連勝に繋げることが重要だと捉えながら試合に臨みました。また勝ち急がず、取り急がず、選手たちは守備から攻撃に移ってくれたと思っています。後半に向けては、ネジを巻き直しましたが、前節の浦和戦の札幌さんは後半の早い時間帯からかなり疲弊していた局面が見受けられたので、我々が普段から培っている運動量やハードワークを発揮できれば、必ず相手を上回れると選手に伝えました。後半に藤尾翔太が先制点を決め、イボ(ドレシェヴィッチ)が追加点を決めてくれたことがチームに良い影響をもたらしてくれました。1点こそ取られましたが、この1失点を10失点ぐらいに重く捉えて、町田に帰ってから反省し、またクリーンシートで勝てるようなチームを作っていきたいです。8分という長いアディショナルタイムの中、90分を走りきってくれた選手たちに感謝したいです。次は代表ウィークにより1週間空きますが、もう一度初心に帰り、4連勝を勝ち取れるようにチームを再構築していきたいです」
–前半の20分ぐらいまでは札幌さんに対して、特にサイドの守備がハマっていないように見えました。その後は修正できていましたが、守備組織の問題点はどこにあったのでしょうか。
「初先発の藤本一輝はJ2で長くプレーしていたからか、あるいは緊張していたのか、後ろと連係が取れていなかったですし、ボールサイドに対する強度も足りていませんでした。ただ試合中に厳しく要求することで次第にできるようになりました。持ち味であるドリブルも活きてきたので、改善はされていたと思います。あとは立ち上がりから札幌さんがかなり勢いを持って試合に入ってきたため、言葉は悪いですが、撃ち合いになることも覚悟をしながら耐えていくことで糸口を見つけ、糸口が見つかればそこで効果的なカウンターを仕掛ける形が見え始めていました。それによって絶対にチャンスはできると伝えていました。何よりも先に失点をしないように、焦れずに戦うことを促していましたし、その中で後半は良いゲームができたと思っています」
–他会場の結果により、首位浮上を果たしました。
「我々は新参者であるため、これでやれるという手ごたえを感じてはいけないと思っています。我々はあくまでもチャレンジャー精神を忘れずに、メンタリティーを奮い立たせながら1試合ずつを積み重ねていくしかありません。その中で上位に食らいついていくこと、中位以下には順位を下げないというメンタリティーを前面に出しながら、失う物は何もないと、取り組んでいる成果が3連勝に繋がっていると思います。勝つことで選手たちはより自信に繋がるでしょうし、怪我人も戻ってくるメドが立っています。さらに強いFC町田ゼルビアを構築していきたいと思っています」
–開幕からここまで、藤尾選手と平河悠選手といった次世代を担う選手の奮闘が目立ちます。彼らの開幕からここまでの活躍をどう見ていますか。
「2人は昨季から努力を積み重ね、体が一回りも二回りも大きくなったことで対人でも自信を持てるレベルになっていましたし、J1でも十分にやれるという確信は持てていました。そういう意味では躍動して結果を残せていることは偶然ではなく、必然だと捉えるべきです。これからの町田を背負っていく存在ですが、U-23日本代表の活動でも結果を残して、日本全国にアピールしてほしいです」
–例えば1点目はダブルボランチの一角である仙頭選手の攻撃参加がゴールに繋がりました。ボランチの攻撃参加はどこまで許容しているのでしょうか。
「ボランチの役割はある程度決めてはいます。どちらかと言うと、柴戸(海)の方が守備的で仙頭の方がどんどん攻撃に絡んでいく役割分担です。仙頭はパスも出せるし、シュートも打てる彼の攻撃センスを存分に活かしながら、オ セフンや平河、藤尾を活かしていくことはプランとして持っています。また今日の仙頭はかなり走行距離も上がっています。前半の数値を見てもチームトップクラスだったことは、本当に評価できることです。その分、最後は下田北斗が後を引き継ぐ形でバトンをうまく繋げたと思っています。今日の仙頭の働きは素晴らしかったです」
–改めて、生まれ故郷である札幌でトップカテゴリーの試合を指揮できたお気持ちを聞かせて下さい。
「青森山田の監督から転身をして、まだ1年半ぐらいしか経っていないため、この目まぐるしい変化に気持ちが追いつかない面はありますが、私が北海道を出た高校卒業時は北海道コンサドーレ札幌がなかった時代です。そういう意味では私たちが北海道外で鍛錬している間に、コンサドーレさんが一歩一歩この北海道の地で歴史を刻まれたことをうれしく思います。私の親兄弟はまだ札幌にいますので、感慨深い試合にもなりましたし、待ち遠しい試合でした。この札幌で試合ができたことをとてもうれしく思うと共に、お互いにはらに成長し、切磋琢磨しながら、良いチームを作っていきたい気持ちは他のチームよりも何倍も強いです。そういった気持ちを改めて確認できる試合にもなりました」
以上
○コンサドーレ札幌:ペトロヴィッチ監督 会見要旨
「今日の敗戦は非常に悔しく残念に思っています。ホームで戦う我々にとっては、シーズン初勝利を掴みたい試合でした。試合に関しては、想定通りの試合になりました。前半はお互いにチャンスの数を多く作れませんでしたし、球際で激しくぶつかり合うタフな試合となりました。ただ後半に入ってクロスからの折り返しを決められてしまい、我々にとっては望まない試合展開でした。クロスへの対応も良くなかったですし、追加点はセットプレーで連続したヘディングの形から決められる失点でした。比較的後半の早い時間帯にリードを許してしまったことは難しい試合展開になりました。リードされる展開の中でフレッシュな選手を入れたことにより、いくつかチャンスを作れましたし、チャンスの数も増えた中で1点を取りました。ただ得点機会を同点にすることができずに敗れた形になったことは残念です」
以上
▽選手コメント
○仙頭啓矢

–2-1で勝ちきり、3連勝となりました。まずは試合を振り返って下さい。
「全員がハードワークをして勝ち取った勝利です。1失点をしてしまったことは悔しいですが、今までなかった複数得点を取れて勝てたことも良かったです」
–先制点の場面は右サイドのスペースへ流れていく形からチャンスに絡みました。あの時の狙いは?
「最初は(平河)悠に預けた段階で自分がオーバーラップをしてクロスを入れる選択肢もありましたが、相手がその動きを読んできたので、一度止まって悠に出そうとしたところ、相手もボールウォッチャーになっていました。悠はいい動き出をしてくれるし、スピードもある選手なので、悠と良いコンビネーションから打開するチャンスを作れました」
–前線のタレントを生かすシンプルな配球も目立ちました。
「前半に悠が抜け出すシーンがありましたが、1つ横パスを入れてから縦に入れることで相手も矢印がこっちに向くため、結構チャンスになると思っていました。周囲の選手と連係しながら、効果的な形を作っていくことは練習から要求していることです」
○奥山政幸選手

–念願のJ1デビューとなりました。心境はいかがですか。
「ピッチに立つまではバタバタしましたが、チームが勝つことを考えていたので、特別にJ1デビューに関しての気持ちの高ぶりがあったわけではありません。ただ試合が終わってからサポーターの皆様と一緒にラインダンスを踊れて、J1の舞台でラインダンスができていることは感慨深いなと思いながらその瞬間を味わっていました」
–途中出場で右ウイングバックに入る形でした。コーチングスタッフからはどんな指示があったのでしょうか。
「まずはしっかりと守ること、逃げ切ることを優先すること、だからといって下り過ぎずにボールを奪いに行く姿勢を見せて、全体的に相手をゴールより遠ざける指示を受けてからピッチに入りました」
–J1デビューの喜びを誰に伝えたいですか。
「両親と妻とお世話になった祖母と挙げればキリはないですが、ここまで僕に関わって下さった多くの方々に感謝をしたいです。これからは今日を第一歩目として、試合数と出場時間を増やしていきたいです」
以上