○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「立ち上がりからそんなに悪くはなかったなと思いますが、3-3になった原因を探らないといけません。結果的には17本のシュートを放ち、CKが相手よりも多かったので、ただただ3点目を早く取りたかったです。失点に関しては長いボールが入ってきた時の対応、セカンドボールの対応、そういった場面にやや手こずった結果での失点でしたから、しっかりと改善していく必要があります。内容としてはなぜ3-3になるのかと思いますが、総合的には良かったのかなと思っています。今は首位であり、昇格を狙うチーム特有の難しさに直面しているのかなと。
2試合連続での試練となりましたが、ここで一つ殻を破らないと、優勝や昇格には近づかないのかなと思います。我々には次の秋田戦も含めて、5試合が残っています。いろいろな意味で同点に追いつけたことは勝ち点1を積み上げたことになりますから、連敗しなかったことをポジティブに捉えながら、周りの状況に左右されずに勝ち点3を積み上げられる次の秋田戦に向けて、気持ちを切り替えて臨みます」
–前節のいわき戦からメンバーも大きく代えて、システムも3バックに変えていました。その意図は?
「甲府さんのようにビルドアップが上手なチームを相手に、規制を掛けることで相手の判断する機会を奪ったり、早い段階でボールを奪うことが自分たちのリズムに繋がるだろうと意図していました。いわき戦に関しても、劣勢になった時に中盤でフリーな選手をかなり作ってしまいましたし、相手との噛み合わせも悪かったので、FWの下のポジションでセカンドボールを拾えなかったという反省点を踏まえて、セカンドボールを拾うことや相手の攻撃の芽を摘む状況を分かりやすく作ろうとした形です。またメンバーも多く代わりましたが、居残り練習で頑張っていた選手たちもいますし、そういう選手たちが歯がゆい想いをした中でも頑張ってきた結果、チャンスを掴んだ選手がそのエネルギーを前面に押し出し、チーム全員のパワーが集結した時にはやってくれるだろうという狙いがコーチングスタッフの中にもありました。最終的には決定打の多さからすると、もっとゴールを決めないといけない試合でした。決して悪いゲームではなかったですが、勝ち点3に繋げられないことが課題です。今は優勝を狙うチームが難しいタイミングに来ているのかなとも思います」
–2ゴールを決めた宇野禅斗選手の活躍はいかがでしょうか。
「松井蓮之の出来もこれまで悪くはなかったですし、下田北斗もいますので、彼らをどう使っていくか。バランスの難しさはありますが、禅斗はボールを奪うことに長けているので、少し前にポジションを取らせながら、前の方でプレーする形になりました。課題を与えると彼の良さも出るため、そういった形にしました。いわき戦でファウルが多くなっていた蓮之と競争をさせて、いろいろな相乗効果を生みながら戦っていかなければなりません。今回のように禅斗の調子が良ければ彼も今後は使われるでしょうし、悪くはなかったと思います。同点ゴールに関しては、さすがだなという印象です。下田がうまくバランスを取ってくれたことで、禅斗が1つ前のポジションでプレーできましたし、決して悪くはなかったです」
–前からマンツーマン気味に嵌めに行くよりも、比較的行くべき場面と行かない場面のメリハリが効いていた印象です。
「相手のSBが低いポジションを取って、前に出てくる形を作ろうとしてくるだろうと思っていたので、あまり必要以上に追い掛けないことはチーム内で共有していました。またFWと中盤と最終ラインの間でスペースができると、そこで相手にスイッチを入れられたり、カウンターに持ち込まれることに繋がるため、無理して行かないように、という話はしていました。やれたこともやれなかったこともありますし、久しぶりのチャレンジだったため、いくつかの不具合も生じました。秋田戦に向けては今日の反省点を活かし、3バックや4バックを模索しながら準備を進めていきたいと思います」
–右のセンターバックに奥山政幸選手を起用した意図は?
「彼の純粋なカバーリング能力を買った形です。配球やFK、ロングスローに関しては、鈴木の方が使い勝手は良いため、2人とも起用したい選手にはなりますが、前からプレスを掛けるということは、背後に対するリスクマネジメントが必要です。またセンターバックをカバーリングする状況や、相手との走り合いになったとしても、相手を上回るために起用しました」
–残り試合に向けたチームのムード作りで黒田監督が意識していることは?
「昨季は15位のチームですから、決して下を向くことなく、選手たちが首位というこの状況をポジティブに楽しめるようにやっています。ただ最近は失点も増えていますし、目標に向かって、課題であることを詰めきれていません。若干甘いことも出てきているので、改善させながら進んでいますが、プレッシャーを掛け過ぎずに、思う存分、後悔なくできるように、そんな言葉掛けをしています」
以上
○ヴァンフォーレ甲府:篠田善之監督 会見要旨
「引き分けという結果に終わったため、悔しい想いでいます。
先制点を決めて、うまくゲームをコントロールしながら試合を進めていましたが、相手の長いボールに対してのセカンドボールの拾い合いを相手に制されたことで試合をひっくり返されたのは反省しなければなりません。ただ選手たちは持ちこたえ、後半に向けて準備を整えて臨み、追いつくことができましたし、一度勝ち越したことは評価したいと思います。ただ我々にとっては勝ち点3が欲しい試合でした。それでも、選手たちはプレッシャーがある中で戦ってくれましたし、足りないことはありますが、選手たちは良くやってくれました」
以上
▽選手コメント
○藤原優大選手

–相手の先制点の場面は藤原選手が対峙する形でした。決めた飯島陸選手が上手だったのでしょうか。
「結果的にはそうなってしまうかもしれません。ただ回避する策は何個もあったなと皆で話してきました。先制点を取られると試合運びという意味でも、3バックにしてガンガン行こうという中では、結構厳しいメンタルになったかなと思います。先制点が1つのキーポイントになったので、悔しいです」
–後輩である宇野禅斗選手がゴールを決めたことについて。
「本人にとっての初ゴールですし、メンバー外が続いていた中でも結果を出したことは刺激になりました。だからこそ、勝たせてあげたかったです」
○宇野禅斗選手

–結果は悔しい引き分けでしたが、宇野選手の活躍が光りました。
「でも欲を言えばもっとセカンドボールを拾える場面がありましたし、もっと点を取れる場面もありました。しっかりと得点に絡めたことは ポジティブに捉えながら、反省すべきことは反省して、次の試合に臨みたいです」
–特にチーム2点目のゴールは、素晴らしい形でした。
「今日はシャドーのポジションで出場した中で得点を狙っていました。ヒジくん(翁長聖)は精度の高いボールを入れてくれると信じて飛び込んだことが、ゴールに繋がりました」
–残りの試合に向けて、どんなメンタリティーで臨みますか。
「厳しい状況の中でも首位でいられることは、追われる立場の難しさもありますし、追い掛けるチームにとっては、追う立場なりの難しさがあると思います。今日の試合の良かった点や悪かった点を明確にした上で、次の試合をさらに良い状態で迎えられるように、準備を整えることが優勝や昇格に繋がっていくと思います」
以上