○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「これは私個人の話になりますが、この東北の地は30年近く住んできましたし、青森山田高で戦っていた時代のゆかりの地でもあります。
またこのスタジアムでは何度も試合をしてきました。ここでしっかりと勝つことができたのをうれしく思います。
今日の試合は代表選手たち、特にFW陣がいない中で選手たちが勝ち点3を取ってくれたことをうれしく思います。
勝利を掴み取った選手たちを称えたいです。
立ち上がりはセットプレーのこぼれ球から点を取りましたが、逆にセットプレーからニアサイドで合わされるという甘さが出てしまいました。
ただその中でも前半の終了間際に下田北斗がゴールを決めてくれたことで後半に向けて奮起する材料になりました。
今こうして町田が歴史を変えようとしている中で、それを変えるのは簡単ではないと選手たちにも言い聞かせてきました。
歴史を変えるためにも、一瞬たりとも甘さを見せるなと強調してきました。
リードしている展開だったため、後半は守勢になることは覚悟している中で、長いボールもクロスボールもはじき返し、全部のルーズボールを自分が拾うんだぐらいの気持ちでやってほしいと選手たちに話していました。
その結果、選手たちがミッションを遂行してくれました。
また選手たちの優勝や昇格への想いが最後のホイッスルまで途切れることなく続いたことが、今日の勝利に繋がりました。
今日の勝利は選手に感謝したいですし、ここまで応援に来て下さった約300人のファン・サポーターの皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました」
–前節の甲府戦から3バックを継続しましたが、その意図は?
「4バックで失点をちょっと重ねていたので、3バックにすることで責任をハッキリとさせました。
また4-4-2でやっている時にどうしても(ミッチェル)デュークが入っている状況の中で1.5列目のボールを拾われてカウンターを食らう展開になっていましたし、守勢に回る時間が続いたものですから、セカンドボールを前向きに拾う形で相手のサイドバックの背後を突く形を作りたかったために形を継続しました。
できるだけそこに対する意識を持たせて、人を配置させながらセカンドボールを拾える状況を作ることを意図していました。
また後ろは相手と同数になっても良いので、マッチアップを明確にすることで自分たちの戦い方をハッキリさせられるだろうという狙いの下、継続してきました。
1失点こそしましたが、最後まで最終ラインとGKで連係を取りながら、最少失点で終えることができたのは評価できます。
3バックと4バックを併用できるということは、相手との噛み合わせを良くするために、状況次第で選手たちの起用法や組み合わせを変えることができます。
相手からすると、焦点を絞りにくくさせている状況ができていると思います。
また同じメンバーで4バックでも3バックでも対応できることにより、相手に推測されにくくなります。
やっとここにきて色を変えてできるようになりましたし、その中で勝てたことは、大きな効果が出ていると感じています」
–前線で起用した荒木駿太選手と沼田駿也選手の活躍が素晴らしかったです。彼らに期待したことは?
「相手にとって嫌なことはシンプルにサイドバックの裏を使われることだったと思います。
ラインを下げさせられること、またクリアされたとしても自陣からは遠いため、ロングスローを放り込まれることやCKには繋がらないですから、そのために太田宏介や鈴木準弥ら、配球力の高い選手たちを起用しました。
守勢の時間はありましたが、長いボールで押し込まれても、そこをはね返してセカンドボールを回収し、またこちらが押し込む状況を作れば、相手の深いエリアを使えることにより、カウンターやセットプレーの回数を減らす効果も見込まれます。
ただ1点を取ってからはやや後ろに重たくなったことでファウルが増え、セットプレーやロングスローを与える機会が増加しました。
状況を改善しようと、ハーフタイムには前へ出て行くことを指示しましたが、結果的に押し込まれてしまいました。
ただこういう試合を勝ちきることが自信にも繋がっていくでしょう。
今後もこの試合を耐え抜いたメンタル、姿勢を1つの物差しにしながら頑張っていきたいです」
–下田選手の決勝点が決まる前にもセットプレーのクリアボールが下田選手のところに多くこぼれてきていました。狙っていた形なのでしょうか
「練習していた形そのままでした。
決めたのは右足のシュートでしたが、利き足である左足のシュートも含めて、3本ほど決めるチャンスはあったと思います。
右足のシュートは力が入らなかったのが良かったのか、自分のマークを外してしまい、失点をした罪悪感があのようなシュートに繋がったのかもしれません。
自分のミスを帳消しにするあたり、さすがベテランプレーヤーだなと感じました」
–GKを含めた最終ラインの人選のポイントは?
「我々がキャンプから通じて、選手たちに定着させようとしてきたチャレンジ&カバー、相手を走らせない守備、またマークのつき方が徹底されないことで失点が増えていきました。
そういったことが軽薄になりながら、甲府戦は崩されていなくても失点に繋がっていました。
我々が継続してやってきたことを見返そうとした中で、松本大輔は練習から良く声を出し、目をギラギラさせながらチャンスを伺っていた選手です。
今回はそんな松本を中央に据え、周りをどんどんコントロールしてもらえるような状況にしました。
また松本はコーチングスタッフがやってほしいことを忠実に実践できる選手であるため、彼を中心に最終ラインを形成しようと、一種の賭けに出た中で良くやってくれました。
またGKを福井光輝に代えたのは、単純に甲府戦で多くの失点をしていたこと、また前節の3失点の中で、GKでどうにか防げたのではないかと思う失点もあったという印象を持っていました。
結果が出なかった時は選手を代えていくということ。
また代えられるGKがいることをポジティブに捉えながら自分の仕事に責任を持たせ、また結果が出れば継続して起用されるということを認識させるためにも、こういった相乗効果は必要だろうと、GKを代えるという選択をしました」
以上
○ブラウブリッツ秋田:吉田謙監督 会見要旨
–まずは試合の総括をお願いいたします。
「秋田を信じて下さる皆様、どんな時も心からクラブのことを応援して下さり、ありがとうございます。自分たちで運を運んでこられるように、信じ続けて走っていきたいと思います」
–後半は押し込みながらもゴールを奪えなかった理由は?
「決めるためには個人の力をつけることです。己と会話をして、ゴールを決められる、そういった良い選手になってほしいです」
以上
▽選手コメント
○太田宏介選手

–勝利が決まった瞬間のチームの喜び方が、この勝利の価値を表しています。
「その通りです。この1カ月は本当に苦しかったですし、結果が出ない中、皆がもがいてきました。
今日は代表組3選手がいない試合でしたし、また秋田でのアウェイゲームは、町田の歴史を見ても、あまり結果がついてこなかったので、この勝利は本当に大きいです。
気が抜けない90分でした。
ホッとした気持ちと自分が出て負けるようなことがあれば示しがつかないですし、とにかく勝てて良かったです」
–この試合で先発を託された意味をどう捉えていましたか。
「これほど貴重な試合で黒田剛監督が信頼して使って下さったので、その気持ちに応えたかったです。
苦しい思いをしてきましたが、この1勝で報われます。
選手たち、スタッフ、ファン・サポーターの皆様の笑顔を見ていると、改めてサッカーは素晴らしいなと思います。
また今年の町田が持つ力はすごいなと感じました」
–気合と根性の秋田さんに気合と根性で上回った試合でしょうか。
「時々負けたりしましたが、皆が諦めなかったですし、ミスした後も補い合いながら、チームワークを出せました」
○荒木駿太選手

–第10節の大分戦以来となるうれしいゴールです。まずはゴールシーンを振り返って下さい。
「ゴール前にいたらボールがこぼれてきました。
ゴールシーンは冷静に利き足とは逆の左足でしたが、しっかりと当てて決めることができました。
試合の入りに関しては、前半からCKもロングスローの機会も作れていましたし、自分たちのペースでできていました」
–代表組がいない試合で見せ場でもあったと思います。
「似たような状況だった栃木戦も「やってやるぞ」という気持ちで後半のスタートから入りましたが、結果に繋がらずに悔しかったです。
ファン・サポーターの皆様も代表組がいないと勝てないと思っていたことでしょう。
今日は代表組である(藤尾)翔太のため、デュークのため、(平河)悠のために戦うことが力になりました」
以上