○試合後の記者会見:黒田剛監督
–まずは試合の総括をお願いいたします。
「立ち上がりから国立というピッチの重圧やプレッシャーに押し潰されることがないように、試合の入りが大事だという話をしている中で、2点を先行し、前半を終えられたことはとても評価できることです。まさにそこまではプラン通りでした。そして後半の序盤に荒木(駿太)を入れてからは、相手との噛み合わせを良くする上で形を変えました。その後は後半の20分過ぎから30分近くまでは相手がなかなか入って来られない状況を作れましたが、疲労のある選手を交代していきました。交代選手の出来が良かったとか悪かったとかそういった話ではなく、この国立というピッチの雰囲気に対して、選手たちが少し浮き足立っていました。疲労感はあったと思いますが、もっともっとできたことはあったなという印象です。いずれにしてもサイドからのクロスによる失点は何試合もしていなかったですが、その形からミスがまだまだ出てくるようでは甘いなと思います。クロスに対しても、寄せ方が甘くなる時間帯もあったと感じています。リーグ戦であるため、これが今季最終戦ではないですし、勝ち点1を取れたことをポジティブに捉えて、ヴェルディさんとの勝点差が縮まったわけではないですから、多くの反省材料を持ちながら次の試合を迎えられること、また足踏み状態であることが逆にポジティブな材料に繋がるかなと思っています。選手全員に対しては上を向いて、次の試合に向けた準備をしていこうという話はしました。国立には3万8,402人ものお客さんに詰め掛けていただき、ありがとうございました。今後も町田に対しての大きな期待を持っていただけるように、またこの国立のピッチに恥じることがないような町田にしていけたら、との想いを強くしました」
–青森山田高の選手たちが高円宮杯プレミアリーグを終えて、国立に駆けつけたと聞いています。町田のサポーターの方々に見せたいこともあったと思いますが、彼らに何かを見せたかったのでは。
「試合中は何も考えていませんでしたが、昨年までは私も高校サッカーに携わってきましたし、教え子である藤原優大や宇野禅斗も出場する形になりました。先輩として夢を抱かせるような想いを見せることができたとは思っています。またこういう雰囲気の中で自分たちに何ができるか。それを考える意味でも、彼らにとっては貴重な機会になったのではないでしょうか。私もまだ高校とも繋がっていますし、こういった形で教え子たちが国立を訪れる機会があったことに感謝しています。必死にボールを追いかける姿や、体を投げ出したり、そういったシーンを見ることで彼らも勉強してほしいと思いますし、もっと夢や感動を与えられるようなものを今後も見せていきたいです」
–国立開催はクラブにとって意味のある試みだったと思いますが、今回の国立開催がクラブにもたらす意義をどう考えていますか。
「ここまで首位を走っていること、また体制も変わり、新しいFC町田ゼルビアというクラブが勢いを増し、本気でJ2優勝とJ1優勝を目指す姿を見たいと、この国立にお越し下さったと思います。中位や下位ではこれだけの観衆が詰め掛けて下さったかは分かりませんし、皆さんの期待に応えられたかは分かりませんが、またこの国立でファン、サポーターの皆様が声援を送りたいという気持ちが癖になるぐらいに芽生えて下さるとうれしいです。経験だけではなく、成果を持ち帰ることができれば良かったのですが、それができずに残念です。ただ国立開催をするにあたって、いろいろな方々にご協力いただいたことに対して、私の立場から感謝の気持ちを申し上げます。またこの舞台でやりたいという気持ちが、選手の中に芽生えたと思いますので、もう一回り強くなって、また国立に帰ってきたいです」
–3枚代えの際にカルロス グティエレス選手らを投入し、3バックの形にしました。その意図や交代策をもっと早くすべきだった、もしくは変えない方が良かったと思っているようなことはありますか。
「1点差に追いつかれた場面は対応した奥山(政幸)のマークがややボケていました。またGKも前に出た以上は触らなければなりません。ただ相手はパワープレーを仕掛けてきていましたし、セットプレーに関しても、(ミッチェル)デュークがいない分も不利だった部分もあります。クロスに対して、カルロスを入れることではじき返したいという狙いはありましたが、これはあくまでも結果論です。改めて映像を見返して、検証していきたいと思います」
–相手のヴェルディが強い気持ちで臨んでくる中で、何かメンタルの面で選手へのアプローチはしましたか?
「報道でも出ているように、バスケス バイロンが加入したことを含めて、相手にとってはモチベーションが上がる状況だったと思います。恐らく相手は噛みついてくるような状況が想定される中で、我々としてはもう一段階大人のチームになっていくことを目指すのであれば、そういったことに一喜一憂することなく、切り替えを速くし、冷静に平常心でしっかりと町田のサッカーをしていこうと伝えてきました。私も経験上、国立での試合は開始10分程度で失点し、負けたこともあります。そういった反省を踏まえて、波に乗りきれずに立ち上がりから失点をすることがないようにと冷静に対応するように話していたことで前半の入りは良かったと思いますが、後半に関しては、入りが良くなかったです」
–2点を決められた染野唯月選手とは高校サッカーを指導していた時にも対戦しています。当時と今回の対戦でどんな変化を感じましたか。
「選手権の準決勝で3点を取られたことを覚えていますし、山中真コーチも柏レイソルのアカデミーの時に3点を取られたことがあると話していました。彼の怖さは我々コーチ陣の方が理解していましたし、実際に一発を決める力もあります。またヘディングは高さがあるだけではなく、強さもあります。そういった意味では一瞬のチャンスで決めきる力のすごさは感じます。今日もやられたなという印象です。我々のミスもありますが、チャンスを決めてくる力がありました」
以上
○東京ヴェルディ:城福浩監督 会見要旨
「正直、勝ちたかったです。先に2失点したことで難しくなりましたが、サッカーをやっていれば必ずチャンスがあると思っていました。ただ選手たちは辛抱強く、我慢強く、追い付いてくれました。またサポーターの皆様の力も非常に強く感じていただけに、この結果は無念にしか感じていません。連戦はあと2試合あるので、今日の気持ちを持って今後も戦っていきたいです」
以上
▽選手コメント
○藤尾翔太選手

–開始早々の先制点の場面を振り返って下さい。
「(安井)拓也くんからエリキにボールが入った時に、そこからチャンスが来たら良いなと思っている中で、ボールがこぼれてきて、うまく決められて良かったです。ボールが来そうだなという位置にいられたことも大きかったです」
–国立という大舞台を経験して、どんな想いでいますか。
「初めての国立でもっと硬くなるかなと思っていたのですが、意外と平常心でプレーできました。会場に着いてからはいつもと違う感覚になりましたが、時間が経つにつれて落ち着いてきましたし、試合が始まる頃には集中して平常心で臨めました」
○宇野禅斗選手

–高校選手権で経験している国立の舞台が怪我からの復帰戦となりました。
「3カ月近くリハビリ期間が続き、怪我が回復しきれずに時間は掛かりましたが、国立という舞台で復帰できたことはいろいろな方々に感謝しなければなりません。復帰するまでいろいろな方々に携わっていただき、皆さんに感謝したいです。ただ今回は練習試合もこなしていないですし、ゲーム形式の練習に入ることもなく、メンバーに選んでいただきました。ぶっつけ本番に近い形でしたが、自分のやるべきことは明確でしたし、やるべきことも理解してピッチに立ちました」
–強い気持ちで途中からピッチに立った分も、追い付かれたことに残念な想いでいるのでは。
「他の交代選手と共に流れを変えるつもりで入りましたが、その思いとは裏腹に結果的に追い付かれてしまったことに関しては責任を感じています。チームを勝利に導けなかったことは大いなる反省点です」
以上