○試合後の記者会見:黒田剛監督
–まずは試合の総括をお願いいたします。
「前節の東京ヴェルディ戦を1-0のクリーンシートという理想的な形で終えたことによる過信や甘えを一切排除することを大前提として試合に入っていきました。試合の立ち上がりは少し体が重いかなという印象もありましたが、次第に修正をしながら、決定打を作っていきました。最終的に2-0ではありましたが、1-0で試合を進めながら、2点目を取ることが理想的ではある中、仮に1-0で終わっても問題がない、それが一番素晴らしい勝ち方なんだなという意識づけを選手たちにした上で後半に送り出しました。後半は平河悠の仕掛けからPKを取れたことは良かったです。決して派手さはないですし、地味かもしれませんが、これが町田の勝ち方のスタンダードなんだと。これを積み重ねていくことの価値を実際に選手たちが体現したゲームとなりました。次の清水戦に向けてはしっかりと休んだ上で、良い準備をしていきたいです」
–前半の終盤に翁長聖の背後で何度か起点を作られました。後半に向けた修正点は?
「基本的に1-0での試合の進め方を遵守することを徹底したことが1つです。また前半の終盤はファーストDFがなかなか決まらなかったです。そうして球際が緩くなったことで、相手の前進を許した形でしたから、まずはファーストDFをハッキリさせることを徹底しました。ボールの出どころを制限しようということです。ただ中央に関しては、2人のセンターバックが相手をマークをしながら、絶対に相手に負けないポジショニングができていました。仮にやられる形が増えても、相手にとっての良い形を作られることはないかなと見ていました。ゲームを通じてシンプルなことを抜かりなくやっていくことが重要で、これまではシンプルなことをできないことで失点にも繋がっていたので、シンプルな部分を重視してやれるように指示を出しました。特にリスクを冒すことなく、追加点を虎視眈々と狙っていくことも共有しました」
–セーフティーファーストのプレーを徹底することは、選手のストレスが溜まるのでは? どのように働き掛けているのでしょうか。
「ディフェンシブサードでは極力無駄なことはしないということは徹底しています。そこで1本パスを引っ掛けられると即失点に繋がります。パスが何本通っても得点になるわけではないので、ミドルサードからアタッキングサードにかけての位置では大事にボールを繋ぐことは意識づけています。単純なミスもありましたが、今後の練習で詰めていきたいです。ただ選手たちは無失点にこだわることに意識を傾けながら取り組んでくれました」
–前半を1-0でリードして、リードを保ったまま終えていくことのメンタリティーの働きかけは、どのようなことをされているのでしょうか。
「選手たちは勝っているゲームの戦い方を守ってやってくれています。計算できる守備を構築したことで、それができない、もしくはサボることがなければ、絶対に無失点でいけるという確信めいたことを、選手たちが身につけて、信じてプレーしています。選手たちとキャンプから積み上げてきた守備のコンセプトが定着してきました。1点を取れば無失点で勝ちきれる。それは私が長年携わってきた高校サッカー界でも、国見高校や市立船橋高校は1-0で勝ちきってきました。たくさんのパスを繋いで数多くのゴールが決まることが派手で面白いかもしれませんが、いろいろなサッカーがあっても良いと思います。我々は勝つためのサッカーを志向していく。それが優勝するためには一番良いことなのだと、チーム全員で共有できていることが、ここまで一番良い状態で進んでいる要因だと思います」
–ミッチェル デュークがゴールを決めたことについては、いかがでしょうか。
「リーグの中でもクロスの本数が少ないのが我々のチームのデータです。今日に関しては、平河のクロスから手前のDFを越えていくボールを入れていこうというのは1つのコンセプトでした。今までは引っ掛かるボールが多かった中でデュークに合うようになってきました。彼は空中戦が相当強いので、良いボールが配球されれば、決める力があることはチーム内でも認識しているので、まずは良いボールを入れていこうと。デューク周りの精度を上げていくことでチャンスが増えるという話はしていましたが、クロスの精度を上げていくことはまだまだ今後の課題です」
–確かに中央は堅かったですが、後半はセカンドボールを拾われる回数が増えました。相手の質が上がると危険なのでは。
「もちろんそういう時間帯がありますし、守勢に回らざるを得ない時間があることも分かっています。もちろんカウンターの意識共有は進めていきたいことですが、まだまだクオリティーが伴っていません。ただカウンターが決まらなくても、粘り強く守ることや最終ラインを上げて、GKのプレーゾーンを確保すること。またゴールをうまく隠しながら、ゴールマウスにボールが飛ばないように、そういう意識を持つことで相手にボールを持たれてもフィニッシュまで行かせないことができています。今の段階では無失点で試合を進めることに注視しています。今後はパスを繋ぎながらゴールまで迫っていくパターンが練習で増えていくと、もう一段階チームは強くなっていくのかなと思います」
以上
○レノファ山口FC:中山元気監督 会見要旨
「得点を取らないと勝てません。ゴールを取れなかったことが全てだと思います。そのためにはもっとボックス内に進入する回数を増やさなければなりません。ボックス内に入ることができた時はチャンスになっていたので、もっとその回数を作り出さないと。ボールを動かすことで相手を走らせて、チャンスの時はスペースに出ていくなど、そういった部分を見極めて、ボックス内に入っていく回数を増やしたかったです。その上でボールを失ったら、すぐに奪い返すことで相手陣地でプレーする機会を増やさないと、だんだんと運動量の面でも厳しくなってくるので、相手陣地でプレーする割合も増やさなければなりません」
以上
▽選手コメント
○平河悠選手
–先制点をアシストした場面を振り返って下さい。
「相手の左サイドバックの選手がそこまでスピードがないことは分析で入っていたので、自分が右サイドに入る形でした。練習からクロスを入れる形は毎日のように取り組んできましたし、練習から良いクロスも入っていました。ニアのストーンを越えれば、中には(ミッチェル)デュークがいることは分かっていたので、ニアのストーンを越えることだけを意識してクロスを入れました。基本的にはデュークを狙って入れました」
–追加点となるPKを獲得した場面を振り返って下さい。
「ボールがこぼれてきた時にシュートを打ちたかったのですが、相手に当たるのが嫌だったので止めました。そこで突破を仕掛けた時に相手も体を入れてきましたが、うまく入れ替わってPKを取ることに繋がって良かったです」
○ミッチェル デューク選手
–平河悠選手からのクロスボールをヘディングで合わせた先制点の場面を振り返って下さい。
「自分にクロスを入れていくようにという黒田剛監督の指示があって、練習でも決めてきました。悠から素晴らしいボールが来ました。自分は待ってボールにタッチして決めれば良いようなボールでした。これからもどんどんクロスを入れてもらえれば、もっとゴールのチャンスは増えると思います」
–久しぶりにゴールを決めた喜びはいかがでしょうか。
「自分の強みはクロスからのヘディングです。あのような形で良いクロスボールが来ましたし、息子のために忍者の真似をするゴールセレブレーションができたので、なおさら良かったと思っています」
以上