○試合後の記者会見:黒田剛監督

–まずは試合の総括をお願いいたします。
「今日は深い意味合いのあるゲームとして位置付けていました。ヴェルディさんはJリーグを高いレベルで引っ張り、魅力ある歴史を築いてきたクラブですから、リスペクトと感謝を持った中で、今日の試合を戦いたいと臨みました。近隣にホームタウンを構える同士ですし、同一カテゴリーでもありますから、なんとか結果を残して、歴史を塗り替えていく作業をみんなで力を合わせていこうという気持ちが試合の入りからありました。また町田サポーターの方々が約1,000人、味の素スタジアムに足元が悪い中でも駆け付けて下さっていたので、そういった状況も我々のモチベーションとなり、試合に入りました。互いに失点が少ないチーム同士の試合でしたし、我慢のやり合い、粘り合いが想定される中で、選手たちは良く耐え抜いてくれました。前半の終了間際のあのタイミングでゴールをできたことは、相手にとってショックだったでしょうし、効果的な時間帯でのゴールとなりました。得点をしたことで気持ちが少し楽になって後半を迎えられた印象です。ハーフタイムには、後半は守勢に回ることもなく、前からプレスを掛けて、できるだけクロスを入れられたり、シュートに持ち込ませないようにと、選手たちの奮起を促しながら送り出しました。後半に関しては、さほど危ない場面を作られることはなかったですし、選手たちにとっても、達成感のあるクリーンシートだったのかなと思っています。ここ数試合は失点もあった中で、我々のコンセプトである失点をしないことや、粘り強く戦うことをもう一度見直すゲームにしたいと選手たちを送り出した結果、選手たちが徹底してくれたことでこうして勝利できました。まだまだ内容が伴っていない部分はありますが、次のホームゲームに向けて、連勝できるように準備をしていきたいです」
–前半の30分ぐらいまでは相手に間を使われる形が多かった印象です。そうした戦況をどうご覧になっていましたか。
「確かにそういった形が多いなという印象はあったので、サイドハーフの絞りの部分やサイドに入ったボールに対して、二度追いをすることなどを調整しました。システムを変えるまではしなかったですが、追い方や締め方を修正することで、かなり規制はできるようになったと思います。早い段階で調整することができました」
–ヴェルディさんに対して、最も警戒していた部分と対策されたことを教えて下さい。
「前線からプレスを掛けたいという両者の思惑がある中、できるだけリスクを冒したくない、背後にボールを入れてひっくり返したいという意図があり、お互いにそういう思考を持つ同士の試合でしたが、我々にはエリキやデュークというストロングポイントがいる中で、相手もバチバチ来ていた印象はあります。その中で選手たちはシンプルにプレーしながら、できるだけボールロストをしないようにとプレーしてくれました。選手たちは前線からの守備もサボらずに与えられた時間の中でしっかりとやってくれました。ゴールは水物の部分もありますし、いずれにせよ粘ろうというプランで良いと。そして隙あらば1点を取ることを狙っていました」
–相手が割と後半の早い時間帯に10人になりましたが、ゲーム展開に影響を及ぼしましたか。
「大きく動いてしまうことで隙が生じてしまうので、できるだけ大きく動き過ぎることなく、このままやっていこうと。相手が1人少ないことは気にせず、システムも変えることなく、余計に勝ち急いだり、点を取り急ぐことは止めようと、アドバンテージを持ちながら、我々は我々のやるべきことをやろうと、その中で時計の針を進めていこうと、選手たちには話していました」
–数的優位に立った後も、想定通りに試合が進んだという感触でしょうか。
「全員がサボることなく、相手を前で走らせない、クロスを入れさせないこと、またシュートブロックに関しても、かなり体を張ってやってくれたと思います。そういったことができているということは、我々のコンセプトが浸透している証です」
–ここまで首位を走れている要因は?
「まだ対戦が一巡していないため、まだまだ手ごたえを見い出せない状況ではありますが、約1カ月間のキャンプを通して、選手たちに守備のコンセプトを徹底させて、仮に負けるようなことがあっても、決して連敗をしないようにと口酸っぱく言ってきました。また我々のコンセプトがしっかりと遂行されなかった時は、失点が生まれるものですし、それが敗戦にも繋がります。人間がやることなので、時には難しいこともありますが、連敗をしないように、連続で失点をしないように、立ち帰るベースを高い基準で作ってきました。仮に失点をしたとしても、ここまで1試合1失点以上はしていません。そういった意味でチーム作りはほぼほぼ理想通りに進んでいるのかなと思います」
以上
○東京ヴェルディ:城福浩監督 会見要旨
「サポーターの方々と勝利の喜びを分かち合いたかったですが、それができずに非常に残念です。前節の長崎戦でも我々が発揮できていたスタンダードの部分は前半の35分、40分ぐらいまではできていたと思います。相手に圧力を掛けて、相手をボックス内に入らせずに、我々は相手陣地に入っていくことはできていました。ただそこから先のクオリティーが我々の課題です。今強いと言われている相手に自分たちはここまではできると、ただそこから先が足りないということが明確になった試合でした。後半は圧力を掛けて、相手陣地でサッカーをできていたと思います。1人少なくなっても、戦い続けた選手たちは下を向く必要はないですし、手ごえがあったかのと言われれば、手ごたえがあっただけに余計に悔しいです」
以上
▽選手コメント
○池田樹雷人選手

–相手の攻撃をはね返してのクリーンシート勝利です。
「ホッとしました。前節の岡山戦は自分のミスから失点に繋がっていました。責任を感じていたので、絶対にクリーンシートで終わろうと決心していた中でのクリーンシート勝利になったことはとてもうれしいです。失点も続いていましたし、今までやってきたことを再確認しようと、試合に臨んだ中で、チーム全員がここまでやってきたことを表現できていました」
–前半の途中までは間を使われる展開が目立ちました。
「ヴェルディさんがうまいのは分かっていましたし、ボールを握られる展開になることも分かっていました。無失点で進めれば、状況は変わりますし、最初はなんとかやられなければ良いかなというメンタリティーで戦えていました」
○エリキ選手

–難しい試合展開の中で貴重な決勝点を奪いました。
「良いポジションを取ることでゴールを決められてうれしいです。決定力の部分の差が結果に表れたと思います。ゴールシーンはロマーリオから学んだことです。ゴール前では常にアンテナを張って、ボールがこぼれるところを察知してゴールを決めることはロマーリオに学んだことでもあるので、あの場面は集中していました」
–相手にボールを持たれる展開の中、ゴールまでの道筋をどう描いていましたか。
「コーチングスタッフが相手のことをしっかりと分析していました。その情報があるので、相手のやり方は分かっていました。アタッカー陣は近くでプレーすることを意識していましたし、その結果、ゴールシーンのような形に結びついたと思っています」
以上