○試合後の記者会見:ランコ ポポヴィッチ監督
–まずは試合の総括をお願いいたします。
「最後の1失点はいらない失点でした。それがなければ、ほぼ我々の狙い通りの試合だったと言えるでしょう。前半からしっかりとゲームをコントロールできましたが、もっと決められる決定機はあったので、その決めるべき決定機を決めることは今後の課題です。この試合に関しては、選手たちが天皇杯でのレクチャーを学んでくれました。サッカーというスポーツは走らなければ、戦わなければ、勝利は掴めないですし、最低限見せなければいけないサッカーの基本的な部分でも相手を上回ることができたと思います。岩手さんに勝つのはどこのチームであっても簡単ではないと思っています。25人ぐらいの選手が同じ力を持っていて、誰が出ても変わらないサッカーをできますし、諦めずに戦ってきます。また球際も激しく、強度を持ったチームなので、対戦する相手はどこも楽ではありません。相手はロングボールを多用してくるチームですが、それに付き合わずに地上でボールを動かしながら、連動することができていた時は、良いプレーを見せられたと思います。こういった体験を選手たちに肌で感じてもらえたことが私は一番うれしいです。また賢く戦うこと、やってきたことをしっかりとピッチで見せられれば、結果を勝ち取ることに繋がるのを見せられて良かったです。前節の長崎戦は結果こそ出せなかったですが、サッカーの内容では相手を上回っていました。結果を出すためにはどこを修正していくか。それを把握しながら試合に臨めましたし、自分たちがやってきたことをブレずに積み上げてきたことをしっかりとやり続ける。それが結果をもたらすと、あらためて選手たちも感じてくれたと思います。攻守で連動してイメージを共有できている時は、レベルの高い姿を見せられると思っているので、これからも引き続き、継続してできるようにしていきたいです」
–最前線でのドゥドゥ選手の献身的なプレスが守備のスイッチになっていたのでは?
「最後尾のポープ ウィリアムからプレッシングが始まるわけではないですし、この試合だけではなく、ドゥドゥは攻守において貢献度が高い選手です。振り返ると岡山戦は怪我に繋がりましたが、彼の素晴らしいプレッシングがありましたし、前から献身性を発揮してくれているのはこの試合に限った話ではありません。今日のように2得点をアシストしたからそれがフォーカスされるのかもしれませんが、ドゥドゥは毎試合、前から精度の高いプレッシャーを掛けてくれています。日本に来てから長い時間が経っていますが、こういうサッカーはしてこなかったでしょう。味方と連動しながら、繋がりながら、プレーすることはやってこなかったでしょう。1点目は、エムバペやメッシらが絡む形であれば、世界中がオーッと驚くような、世界に知れ渡るゴールシーンだったと思います。ドゥドゥとシュウ(太田修介)らが決めたゴールだから注目されないようでは悲しいです。それぐらい素晴らしいゴールだったと思います。ドゥドゥの素晴らしいプレスや強度はあったと思いますが、他の選手がそれに付いていけなければ成立しません。彼だけではなく、アーリも良かったです。(菅沼)駿哉も全てのデュエルで上回ってくれたと思いますし、マサ(奥山政幸)も(高橋)祥平も、安井拓也も、シュウもそうです。ドゥドゥにあえて何か修正点かというと、3-0の状況でシュートを打った場面です。(平戸)太貴がより良い状況だったので、シュートではなく、パスを選択していたら、4-0でもっと勝負が早くついていたでしょう。試合の大勢を100%決められていたでしょう。順位表の得失点差にも関わってくることです。ただ彼の働きは素晴らしかったです」
–今日の勝利はチームとして戦うレベルが一段階上だった印象です。何か特別な働きかけをしたのでしょうか。
「そういう質問をいただけて感謝したいと思います。サッカーに必要なことはチームとして戦うことです。日本人の特性や良さ、持っているクオリティーを活かしていければ、こうした連動して繋がって、一体感を持って戦うことはできると思います。そういったことを選手たちに求めていくことが重要です。選手たちに対しては、厳しい言葉を掛けるよりも優しい言葉を掛ける方が圧倒的に多いです。そういう言葉を選手たちに伝えないと、今日のようなプレーはできないと思っています。私の大きな仕事の1つは選手の持っている能力を最大限に引き出すこと。今日のような高度なプレーを見せてくれたのは選手たちですし、選手たちと深く関わり合って、家族のように接しているからこそ、選手たちは何が必要であるか、見極められるんだと私は思っています。ドゥドゥを褒めてあげたいですし、その一方であの場面はこうすることもできたんじゃないといった指摘もしていきたいです」
以上
○いわてグルージャ盛岡:秋田豊監督 会見要旨
「ここ最近、決して悪いゲームはしていないのですが、もったいないつまらないミスでの失点でそこから崩れてしまい、勝ち点が取れない状況になっています。前半戦よりはボールを前に運ぶことや、攻撃に転じた時の迫力はプラスαが出てきていることは感じています。この状況を乗り越えて、勝ちをしっかりと拾えるようなチームにしていきたいです」
以上
▽選手コメント
○太田修介選手
–あと1点でハットトリックでした。
「3点目を狙っていましたが、リードしたことで押し込まれる展開になりましたし、その中で何をすることがチームの勝利に繋がるのか。その中で適切なプレー選択をしていましたが、実は虎視眈々とハットトリックを狙っていました」
–まずは1点目のゴールシーンを振り返って下さい。
「日頃の練習からマサくん(奥山政幸)にはゴールシーンに繋がったようなパスを出してほしいと伝えてはありました。ドゥドゥにも相手が5枚なので、センターバックの選手と1対1の状況を作れるんじゃないかという話はしていました。またスクリーンをしてほしいということも伝えていたので、そういったコミュニケーションが活きたゴールシーンだったと思います。ドゥドゥからのヒールパスは相手に当たった格好でしたが、関わってくれたマサくんとドゥドゥ、2人に感謝したいです」
–ご自身の2点目のゴールシーンも振り返って下さい。
「パスを翁長(聖)選手のゴールと言っても過言ではないですし、体を投げ出して落としてくれたので、感謝しています」
○ドゥドゥ選手
–1点目のゴールをアシストした場面から振り返って下さい。
「あの形は自分たちが狙っている形ですし、練習でもやっていることです。サイドバックからも良い形でのボールが入りましたし、太田(修介)選手とタイミングを合わせてパスを出しただけでした」
–2点目は相手からボールを奪った形から長谷川アーリアジャスール選手のゴールをアシストしました。
「あのシーンもセンターバックから絶対にボールを取ってやるぞと、強い気持ちでアプローチに行きました。もちろんシュートを打つ可能性もありましたが、長谷川選手が自分にボールを欲しいと叫んでいましたし、フリーでもあったので、パスを選択しました。自分のゴールよりも、チームがゴールを決めるためにパスを出した方が良いだろうとパスを出しました」
–ドゥドゥ選手の前から強烈なプレスがチームに大きなエネルギーを与えていました。
「常にどんな形でもチームに貢献することを頭に入れていますし、今日は守備でも攻撃でもうまくいったと思います。このチームで長くプレーしてきて、チームでやるべきことを理解できていることをピッチで表現できましたし、それが結果に繋がって良かったです」
以上