○試合後の記者会見:ランコ ポポヴィッチ監督
–まずは試合の総括をお願い致します。
「試合前に選手たちにも話しましたが、真剣に戦うこと、全てを出しきること、それが勝つためには一番大事だと伝えました。皆さんもご存知の通り、昨日日本対ベトナムの試合がありましたが、日本とベトナムでは今日のFC町田ゼルビアと大宮アルディージャ以上に力の差が離れているチームの戦いだったと思います。日本代表の試合を見ていて思ったこと、良い結果を得られなかった理由は、試合に入る前になんとなく勝てるんじゃないかと試合に入っていってしまったのではないか。そのため、試合に入った後にうまくいかず、ギアを上げて、スイッチを入れ直す姿勢を見せましたが、思い通りにチャンスを作ってゴールを決めるに至らなかったのではないでしょうか。我々はそういった試合にしたくなかったですし、大宮さんを自由にやらせてしまえば、クオリティーはありますから、気を抜かずに勝負にこだわることに徹底していこうという話はしました。非常に良いゲームができたと思っていますが、最後の20分はオープンな展開になり、走り合いになったことは反省点です。しっかりとオーガナイズをして、落ち着いてプレーする必要があったと思います。後半20分という時間帯でも経験のある選手がいましたし、経験のある選手たちがしっかりとチームをまとめる、そういう役割をしてほしいと思いました。連戦ですから、あれだけ長い距離を走らされて、消耗するのは賢くありません。ただ我々が100パーセント集中して、全員が連動することができていた時間帯のほうが多かったので、その時間帯に関しては非常に満足しています。この試合は簡単だと、勝てるだろうと思った瞬間に試合が厳しくなりますが、気の緩みを見せることなく、戦い続けられるかどうか。その部分に関しては、まだ見せきれていないことがあるのも確かです」
–初先発だったヴィニシウス アラウージョ選手のプレーはいかがでしたか?
「ヴィニが初先発だからと言って、何かを証明しなければならない状況ではなかったです。彼の実力が分かっているからこそ、チームに迎え入れたわけです。彼が力を入れ過ぎてガムシャラにやるようでは、気持ちが空回りして、違った方向に行ってしまいます。自分の力を出すだけではなく、チームの中でいかに機能しながら彼自身の力を出すのか。自分の良さを出しながらチームの中で力を発揮するか、その折り合いをつけながら、プレーをできていたと思います。瞬間的にファンタスティックなプレーをしてくれましたが、試合勘やコンディションはまだトップフォームではありません。トップフォームであれば、45分で交代させていました。もっとコンディションを上げてほしかったために、長く起用しました。ヴィニという個が評価されるのではなく、ゼルビアのヴィニとして評価されると、チームの中で機能しているということになります。そういう評価に繋がるとありがたいです。彼のプレーはチームの中で自分の役割を果たしながらということもしっかりとやってくれたことで、ゴールというご褒美に繋がったと思います」
–先制点の場面が象徴するように、マイナスのクロスボールを入れると、フリーになる形が多かったです。それはスカウティングの結果なのか。結果的にそうなったのでしょうか。
「相手のスカウティングの結果、同じような状況になるとは限りません。我々が狙っていた攻撃ではありますが、それ一辺倒になるつもりはなかったですし、最善の選択をしていこうという中でクロスを入れる時に最終ラインと2列目が吸収されて、1列になることがあり、マイナスが空くということは、選手たちの耳に入ってはいました。それだけではなく、(髙江)麗央からシュウ(太田修介)にダイレクトでボールが入った場面もありました。いかにその時に一番良い判断をすることと、常に選択肢は2つ以上持つように、ということは言ってきています。相手の攻略法をやっているだけでは強いチームにはなりません。とはいえ、相手の情報を頭に入れつつ、最善の選択を選んでいく。判断の速さは常に選手たちに求めていることです」
–シーズン4失点はJ2最少タイです。今日は高い位置からボールを奪う形も作れていましたし、守備が単純に素晴らしいですが、その理由は?
「3年間掛けて築き上げてきたことがあるということです。我々がJFLで戦っていた頃のことはご存知ではないかもしれませんが、前半戦だけで21失点をしていました。後半戦は6失点でした。ホームで対戦したアルテ高崎戦は前半だけで3点を決められました。チームで連動してやっていくのにはそれなりに時間が掛かります。時間とともにその精度は上がってきています。守備のやり方は新加入選手も時間が掛かるもので、簡単に習得できるものではありません。そういった意味では非常に進歩していますが、まだまだ改善の余地も成長の余地もあります。大事なことはいかに真剣に取り組んでいけるかどうかです。高い位置から守備が始まるので、後ろが連動しなければ穴が空いてしまいます。そういう意味でも全員が集中して、真剣にやることが重要だと思っています。選手たちに口を酸っぱくして言っているのは、「このシーンはサボっても良いかな。他の選手がカバーしてくれるだろう」と思ってはいけないということ。そこでサボることで簡単にボールを運ばれて、失点に繋がることもあります。高い位置から気を抜かずに、真剣に守備をさせることが重要です。我々の選手でワンウェイのプレーをしている選手はいません。攻守ともに同じようにハードワークをすること。チームのために献身性を持つことはとても大事なことです」
以上
○大宮アルディージャ:霜田正浩監督 会見要旨
–まずは試合の総括をお願い致します。
「平日の夜にもかかわらず、たくさんのサポーターの方々に来ていただいた中で、その応援に応えられなかった悔しさしかないです。それだけです」
–前半に3点を取られたことは誤算だったと思いますが、何が原因だったのでしょうか。
「先に失点をしないというゲームプランを組んでいますが、自分たちのパスミスから先に点を取られることは何度も繰り返しているので、それをなくそうと話している中で、今日もつまらないミスから失点を喫しています。そうやってゲームが壊れてしまったことが非常に残念です。その原因を作ったのは私です。何度も同じことを繰り返しているので、それに対しては、違ったアプローチも必要なのかなと思います」
以上
▽選手コメント
○髙江麗央選手
–1点目につながったサイドチェンジの場面を振り返って下さい。
「ボールを持った時に逆サイドが空くことは、試合をやっていてすぐに分かったことです。シュウくん(太田修介)もボールを呼び込んでいたので、あの場面は決めつけというか、感覚で出しました」
–3点目に繋がった縦のスペースを突くフィードも素晴らしかったです。
「練習からヒーくん(翁長聖)が狙っているスペースだったので、阿吽の呼吸というか、自分からパスが来るだろうと走り出してくれていました。あの場面も感覚で蹴りました」
○ヴィニシウス アラウージョ選手
–町田移籍後初ゴールの喜びから聞かせて下さい。
「ゴールを決めたこと、ホームで決められたことに非常に満足しています。翁長聖選手からのクロスボールは練習の中でも取り組んでいることですし、常々やっていたことを試合で実現できたことに満足しています。練習の大事さを改めて感じました。何よりもチームが勝ったことがうれしいですし、そしてこれを続けることが重要です」
–味方との連係が合ってきた手ごたえはありますか?
「全てのパスが合っていたとは言えませんが、ゴールシーンは練習でやってきたタイミングが形になりました。もっと周りの選手たちとすり合わせをすることでもっとチャンスを作れると思います」
以上