○試合後の記者会見:ランコ ポポヴィッチ監督
–まずは試合の総括をお願い致します。
「まずはじめに仙台のスタッフの方で新型コロナウイルス感染症の陽性判定者が多く出たために、仙台は万全なチーム状態ではなかったと思います。私は彼らの早い復帰を願っていますし、また試合中に怪我をした中山仁斗選手も大きな怪我でないことを願っています。前節の東京ヴェルディ戦の後にも話しましたが、99パーセントの力を出すだけでは我々の良さは出せません。また結果も出ないということです。常に99パーセントに1パーセントをプラスして、100パーセントの力を出し続けることが勝つためには大事なことだと選手たちに話してきました。我々らしく戦えば苦しむのは相手の方だと。攻守で連動してイメージを共有することができれば、苦しむのは相手です。今日の仙台さんもJ1のクオリティーを持ったチームですが、チームで戦えばこういった結果を得られることを証明する試合になりました。我々は力があるチームだと、肌身で感じられる試合でした。ただこういう試合を今後も続けていくためには、より謙虚に地に足をつけて戦うこと。一瞬たりとも隙を見せてはならないということ。また油断せずに戦うことを徹底させる必要があると感じています。まだまだ我々のチームは完成していません。もっと成長できる、もっと上を目指せると思っていますので、そうするためには油断をしない、一戦一戦を大事に戦っていくことです。選手たちは全力を出しきることをやってくれましたし、その全力で戦った結果が3−0というスコアに繋がっています。我々が全力を出した上でこちらに結果が転がっていなければ、選手を責められないですし、それは相手が上回ったということです」
—特に前半はインテンシティーが高く、プレースピードも速く、そこに精度が伴うプレーをできていた印象です。いかがでしょうか?
「そういったことは私がトレーニングで求めていることであり、トレーニングで積み重ねている結果です。あれだけ激しくトレーニングをしているわけですから、試合でそれを楽しんで出してほしいと思っています。選手たちには君たちの持っている能力を出しきって、サポーターの方々に見てもらおうと話していますし、遠慮するとか、自分の力を怖がって出さないとか、そういったことはやめようという話はしています。私自身もトライした上でのミスを怒るようなことはしません。そのミスにアイディアや意図があったのであれば許容しています。チャレンジがあるからこそ、その後に大きな成功があるわけで、家に帰った後に、ピッチ外でチャレンジすることには意味はありません。父や母、祖父、祖母に「もっとやれることがあったな…」と話すような後悔がないように、力を出しきれるように、常にトライしていこう。前向きにプレーしていこうと話しています。それはなぜか。トライすることこそが成長する方法だと思っているからです。怖がってチャレンジをしなかったら、トライをやめてしまうと成長はないと考えています。試合に勝ったからそう言っているわけではなく、常日頃から私が口を酸っぱく言ってきていることです」
–後半は相手に押し込まれた中でも危険なエリアに入れさせない、シュートを打たせないような守備ができていた印象です。いかがでしょうか?
「とても集中力が高かったと思います。我々のコーチングスタッフもスカウティングをして相手の情報を選手たちに渡していますが、それもピッチの中で活かせなければ意味を成さないということです。そういった意味では相手選手の特徴を捉えながら、対応する姿は見せてくれたと思います。オフ明けに選手たちへ向けた第一声は、まずは簡単に失点をしないこと。もしゴールを決められないのであれば、決めさせないということをやっていこうと話していました。これまでの試合を振り返っても、多くのチャンスを作られた中での失点ではありません。相手にはそれほど多くチャンスを作らせていないですが、失点をしてしまっています。相手が良かったというよりも、我々の対応のまずさが原因でした。そこの部分をしっかりと締めて、無失点に抑えようという話はしました。集中力の問題、隙を見せないことが重要です。2−0になってから、緩みが多少見えたので、すぐに指摘をしました。ただ選手たちは本来の力を出しきる、油断をしない姿勢を最後まで見せてくれたと思っています」
以上
○ベガルタ仙台:村上和弘コーチ 会見要旨
「前節の山形戦に続いて監督が不在であり、わずか2日間の準備期間でこの試合に挑みました。選手たちは一生懸命に戦ってくれましたし、昨日、一昨日のトレーニングでも梁勇基を中心にこの状況に屈せず、良い結果を出そうという気持ちで臨んでくれました。前節の山形戦もそうですが、ポイントは球際で戦うこと、セカンドボールを拾うことでした。その中でセカンドボールを大いに拾われたことは反省点です。失点はセットプレー絡みでしたが、反対に自分たちもセットプレーから点を取れる状況を作り出すことができれば、もっと粘り強いチームになれると思います。代わりに指揮を執らせてもらって、初めて黒星がついたので、この結果に関しては申し訳なかったですが、選手たちには気持ちを切り替えて、次の試合が大事になるという話はしました。中3日で大分とホームで試合があるので、この敗戦を挽回できるように、またチームで良い準備をしていきたいです」
以上
▽選手コメント
○深津康太選手
–無失点勝利おめでとうございます。守備面について、意識していたことを教えて下さい。
「前節のヴェルディ戦の反省点もありましたし、ヴェルディ戦だけではなく、勝ってはいましたものの、その前の試合から軽い失点があったので、そういった失点はなくそう、無失点で終わろうと話している中で、無失点で勝つことができてうれしいです」
–両チームを通じて、ピッチ内で一番声を出していたんじゃないかというぐらいコーチングの声が響き渡っていました。
「そう思ってもらえるとうれしいです。声を出すことは簡単ですが、個人的には声の力はすごいと思っています。ピッチの上のみんながそう思ってくれるのであれば、うれしいのですが、これからも周りを助けるそういう声を出していきたいです」
–アウェイまで応援に来て下さったファン・サポーターの皆様へメッセージをお願い致します。
「遠い仙台まで来て下さって力になりました。皆様が喜んでいる姿を見て、もっと僕たちもうれしくなったので、こういう試合をどんどんして、みんなで喜び合いたいです」
○鄭大世選手
–今日のゴールは前節の東京ヴェルディ戦の決定機を外していた悔しさを晴らすゴールになったのでは?
「そう捉えていただいて良いです。FWは結果を求められるポジションです。前節は二度の決定機を決めていればチームは勝っていたので、相当落ち込みました。何度も経験しているのにそういう現象が起きると、立ち上がるのには時間が掛かります。悔しさにも種類があって、前々節の岡山戦のように、途中出場、途中交代という悔しさならば、それは自分にはどうしようもできないことなので、次の日に切り替えられます。でも今回は自分の責任で負けてしまっているので、自宅で自分を殴りたくなる衝動に駆られました。でも、決められない、ストライカーにはそういう日ってあるんです。そう割り切って切り替えることを意識していた中で、それでもゴールが決まらないと、どんどんドツボにハマっていくものですが、そうなる前に早い段階で払拭できたので、精神的にはかなりラクになれました」
–例えば若狭大志選手ら、相手センターバックとのマッチアップでボールを収めることができたのも、試合を制する上でのポイントになりました。
「前の試合もそうですが、調子の良さがありますね。本来、自分にできることをこうやってできているだけだと思います。今までできていなかったのに、今はできているということは、体のコンディションや調子の良さがあるからです。もちろんバチンともやれるのですが、体がぶつかる前の駆け引きで、優位な形を取れました。相手よりも前にポジションを取ることで、相手はぶつかるしかないですし、相手とボールの間に僕がいるので、それによってボールは収まります。できていない時は先にポジションを取ることが間に合わずに、相手に先に触られることがあったと思います。良くない時はそうなります。コンディションが良いと、パスを出してくれればあとは簡単ということです。マッチアップするの準備段階で優位に立てていますし、コンディションが良いとそれができます」
以上