○試合後の記者会見:ランコ ポポヴィッチ監督
–まずは試合の総括をお願いいたします。
「特に攻撃面はトレーニングでやっていることを出せたのは良かったと思います。相手に対するリスペクトは持っている中で、ある時間帯は自分たちで首を絞めてしまうことがありました。その原因の1つとして、初めてとなる組み合わせの先発メンバーであったことも影響したでしょう。前半に関して言えば、本来の力を出せていない選手がいましたが、そういった選手たちも後半は良いものを見せてくれました。2度追い付かれる状況でしたが、勝ちきる姿勢を見せて、勝ちきったことに価値を感じています。3点目を取って、勝ち点3を取ることが重要でした。結局勝てなかった場合は、「町田は良いサッカーをしている」で終わってしまいます。それでは意味のないことですから、上位へ行くためには勝ち点3が必要です。ただ金沢さんも素晴らしいチームですし、2回作られた決定機を決められてしまったことは反省点です。逆に言えば、素晴らしいチームを相手に2度の決定機しか作らせなかったのは、評価できる部分ではあると思います。最後まで勝利を信じて戦ったくれた選手たちのことを本当に誇りに思います」
–準備期間中に新型コロナウイルス感染症の陽性者を出すなど、不測の事態も発生した中で、最後の最後で勝ちきれました。この勝利は今後にどんな良い影響を与えるでしょうか。
「コロナに関することはドクターに任せていますし、我々が何かできることはありませんので、受け入れるしかありません。オフ明けから試合まで、何か真新しいことをやったわけではありませんし、やってきたことの精度を高めること、そして共通理解を深める作業をやってきました。2日、3日の短い期間でやってきたことに取り組んだわけではありません。シーズンを通して積み上げてきたことを当たり前のように準備してきました。また(安井)拓也の出来は非常に良かったです。彼が最初にボランチで起用された試合は昨季のアウェイでの京都戦でのことです。拓也はゴールをたくさん決める選手ではないですが、テクニックも優れていますし、パスの精度も高く、ゲームコントロール能力もあります。一方で彼の課題はセカンドギアを入れたままでプレーしてしまう、スピードのメリハリ、緩急をつけることができていないことでした。攻撃の部分で持っているものは間違いのないですから、勝負の舞台で結果に繋げるために必要なことは、効率的にスピードを使うことやインテンシティーの部分です。彼に関しては約1年間待ちましたが、ようやく能力を見せ始めてくれています。(宇野)禅斗に関しても、巡ってきたこのチャンスを誰かに渡すんじゃないと。萎縮して、自分の力を出せないでは話にならないですから、この瞬間を楽しみながら、自分の力を出して、自分の力でこのポジションを奪い取れと思っていました。禅斗が良いをプレーできたのも、チーム全員のサポートの成果でもあります。こうやって全員が良い部分をチームのために出せたことは監督としてうれしいです。でもまだまだシーズンは続きますから、継続して結果を残し続けなければなりません。結果への責任は監督である私にあるわけで、ピッチに送り出す選手たちは失敗やトライすることを止めたり、消極的なそういう姿は見せてほしくないです。ピッチに送り出す限りは、私が信頼している証です。結果に対する責任は私にあるわけですから、その瞬間を楽しんで全力を出しきる、積極的にトライする姿を見せてほしいです」
–2ゴールを決めた太田選手について、今季は90分間出ることが多いですし、彼を起用する上で変わったのはどんなことですか?
「またここから18試合ゴールを待つようなことがないのを願っていますが、我々と1年間を共にして、変わったことはより成熟した選手になったということです。我々のチームに来た頃は肩に力が入り過ぎて、自分の力を出せない時期がありましたが、今では心と体のバランスを取れるようになっています。それが昨季と今季では違う部分ですし、成熟した部分です。シーズン当初も彼自身の能力を発揮できていない試合もあったのですが、太田修介みたいな特長を持った選手がもう1人いれば、相手の足が止まった時間帯に投入することもできますし、途中から起用して、スピードもパワーを持って試合に入ることができます。昨季はチームにエネルギーをもたらし、クオリティーを引き上げる選手がベンチに控えており、彼らが途中から試合に入っていけたことも我々の強さの1つでした。日本では序列を作る傾向があって、俺は先発で、俺はベンチメンバーという考え方をしている選手がいます。ただ私にとってはベンチメンバーも先発の選手だと伝えています。ベンチからスタートする選手に対しても、よりチームのために自分の力を活かすことは求め続けてきたことです。シュウの話に戻りますが、町田に来た当初はボールを追いかけていった後にボールがタッチラインを割ってしまったら、そのまま10メートルほど流して外を走って遠回りをするようなこともありましたし、空を見上げて悔しがって切り替える時間を失ってしまうようなもったいない時間を過ごしている選手でした。彼に話してきたことは、次のプレーにすぐに移行することがいかに大事か、そういったことがどんなアドバンテージを作るか。それを伝えてきました。個人的な評価として、彼はJ1でも十分に通用する能力を持った選手だと思っています。心と体のバランスを取ることができれば、J1でも活躍する選手だとも思っています。ハーフタイムに言いました。「ゴールを決めて終わりじゃないよ。それ以外はまだ自分の力を出せていない」と話しました。後半に向けて必要なことは、前半に自分の力を出せていなかったアーリ(長谷川アーリアジャスール)とシュウが挽回することだと。昨季までのシュウであれば、パフォーマンスが下がっていく選手でしたが、今季はそれを受け止めてはね返すことができる選手になったと思っています」
以上
○ツエーゲン金沢:柳下正明監督 会見要旨
「ずっとトレーニングでやっている、やってはいけないことや、とんでもないことをやっていたら、勝ち点3は取れないなと思います。やはりボールをもらうことを嫌がったり、怖がったりしていたらサッカーにはならないということです。そういう選手がいたら、自分たちがやろうとしているものができないことに繋がります。狙いを持ってやれていたのは回数が少なかったですし、その時間も短かったです。またトレーニングをしたいのですが、天皇杯は中2日、リーグ戦は中3日で試合を控えているので、またコンディションを整えて準備をしていきたいです」
以上
▽選手コメント
○太田修介選手
–後半戦のスタートをうれしい勝利で飾りました。まずは先制点を振り返って下さい。
「チームとして狙っている形でしたし、それをゴールという形で表現できて良かったです。(平戸)太貴もピンポイントでパスを出してくれました。仮にスペースにパスが出てくる形だったら、ゴールに繋げることは難しかったです。彼は賢いなと思います。シュートは枠に入れることだけを考えていました」
–終了間際の劇的な決勝点を振り返って下さい。
「監督からも外に張るだけではなく、中央寄りでプレーしろと言われていました。そういった姿勢がゴールに繋がったと思いますし、危険なエリアに入っていく形で決められて良かったです」
○ドゥドゥ選手
–ナイスゴールでした。チーム2点目の場面を振り返って下さい。
「自分のゴールというよりは、安井(拓也)選手のゴールと言っても過言ではありません。練習でやっている形ですし、それを試合で出せたことは良かったです。また落ち着いてGKの動きを見て決めることができました。そしてなによりも、チームの勝利のためにゴールを決められたことがうれしいです」
–またホームでのゴールでした。これで直近4試合3得点です。
「またホームでゴールを決められてうれしいです。前回のホームでは長谷川アーリアジャスール選手のゴールをアシストしていますし、最近のホームは相性が良いのかもしれません。ただ一番大事なことはチームの勝利に関わることです。ゴールという形でチームの勝利に繋げられたことは素晴らしいことだと思っています」
–後半戦のスタートを勝利で飾れたことの価値はいかがでしょうか。
「大きな勝利となりました。また改めて自分たちの力を証明できたと思います。自分たちの力を発揮することができれば、昇格レースにも関われるでしょう。さらに自動昇格圏にも食い込んでいけるようにこれを続けていくだけです」
以上