○試合後の記者会見:ランコ ポポヴィッチ監督
–まずは試合の総括をお願い致します。
「開幕戦が独特な試合になるということは、常々選手たちに話してきたことですし、開幕戦はフタを開けてみないと分からない部分があります。必要以上に肩の力が入ったり、ナーバスになることは開幕戦で起こり得る現象です。ただ我々の選手たちは、立ち上がりからそういったナーバスな部分を見せずに、しっかりと試合に入っていくことができました。しかしその一方で、逆に後半のある時間帯ではナーバスになることもありました。前半に作れた2、3回あったシュートチャンスを活かしきれていれば、また違った試合展開になったと思います。後半に関して言えば、イージーなトラップミス、パスミスが増えましたし、そこで精度の高いパスを出せていれば、もっとチャンスになっていた場面も見受けられました。また相手のプレッシャーがない場面でのミスが増えました。だからと言って、相手に決定機を作られたわけではなかったですし、ほぼ危ない状況もない中で、不思議なことにスコアは0-1と、ビハインドを背負うことになりました。それでも、選手たちは誰1人下を向くことなく、勝つという強い気持ちを持って最後まで戦ったことが同点ゴールに繋がりました。勝ち点を取るためにハードワークしてくれた結果、選手たちの勝つという強い想いが勝ち点1に結びつきました。ただ昨季も不運な失点はありましたが、今季も不用意な失点が起こりました。今後に向けて不用意な失点をなくすことが勝ち点に繋がっていくので、修正していける部分は修正していきたいです。またチャンスを決め切ることに関しては、もっと精度を上げていかないと、勝ち点は取れません。改めて試合全体を振り返れば、結果が引き分けだったため、満足しているとは言えない試合でした」
–長谷川アーリアジャスール選手を最前線のポジションで起用しました。そのポジションで起用した意図と彼のプレーに対する評価を聞かせて下さい。
「アーリアのクオリティーに関しては、改めてこの場で口にしなくてもご存知だと思います。まずは彼に必要なことはゲーム勘を取り戻すことで、唯一ゲーム勘が足りないことです。今日彼がプレーしたポジションは、彼本来のポジションではないです。ただ彼が不慣れなポジションで起用されても、チームのために戦う姿勢を見せたことが彼自身の質を物語っていると思います。アーリアをトップで使うことで前で収めることに期待をしていましたし、正確な落としからのコンビネーション、そして前で時間を作ることで、オカ(岡田優希)、(吉尾)海夏、(平戸)太貴がより活きることを狙っていました。真ん中でボールを収めて、脇にいる、オカや海夏といったスピードもあってキレのある選手たちが背後を突いていくことを狙っていました。実際にオカのビッグチャンスは2回ありましたし、1つでも決め切っていれば、また違った試合展開になりました。アーリアに関しては、これからもっともっと質が上がっていくでしょうし、コンディションも上がっていくでしょう。現時点でまだまだ彼が100%ではないことは理解していますし、今日の彼の出来に関しては満足しています」
–ゴールシーンに繋がったセットプレーの場面は、準備してきたことか。それとも選手のアイディアでしょうか。
「我々のセットプレーのオプションは数多くありますが、実際に選ぶのはプレーする選手たちです。相手のラインの下げ方やタイミングは、蹴るギリギリまでラインを下げずに、蹴る瞬間に下げるやり方でしたから、そういったことを踏まえて、どこを狙っていくかというトレーニングはしてきました。準備してきたことと言えば準備してきたことですし、ただ大事なことはゴールネットに決めることですからね」
–昨季からメンバーが大きく代わらずに戦えていることは、ポポヴィッチ監督にとっても大きなことでしょうか。
「昨季はベースを作るということで戦ってきた中で、彼らが明らかに成長している部分を見せてくれているのは私にとって非常に大きなことです。そして軸となる選手が残ってくれたことは、クラブにとっても大きなことですし、それはチームにも繋がってくることです。それと同時に新加入選手たちの能力にも満足しています。ただ彼らが本当の意味でフィットするにはもう少し時間が掛かります。サッカーの考え方として、1人良い選手が抜けて、1人良い選手を獲ったら、プラスマイナスゼロだという考え方は、うまくいかないということです。実際にはそういうわけにはいきません。例えば、アトレチコ・マドリードで点を取りまくっていたグリーズマンがバルセロナに行きましたが、マドリードとバルセロナは300kmほどしか離れていません。しかし、グリーズマンがアトレチコ時代と同じ力を発揮するには、いまだに苦労しています。フィットするまでは2年間時間が掛かりました。アトレティコよりも、バルセロナの方が良い選手が多いのにもかかわらず、力を発揮できていません。それは事実としてあります。新加入選手の能力は高いですが、すぐにその能力を発揮できるとは限りませんし、すぐに発揮できるものではありません。ただ彼らが入ったことで競争は激しくなっていますし、上を目指していく上で、チームも良くなっています。間違いなく言えることは、新しい選手たちが昨季からいる既存の選手たちのレベルをさらに引き上げてくれるということです。既存の選手も昨季と今季のプレーを比べれば、質も非常に上がっています。メディアの皆さんがどう見ているか分かりませんが、私はそう見ています」
以上
○モンテディオ山形:石丸清隆監督 会見要旨
「無事に開幕することができたのは喜ばしいですし、僕たちのファン・サポーターの皆様が来られないことは残念でしたが、開催できたことには感謝を申し上げます。ゲームプランはいろいろありましたが、開幕戦ということもあって、クローズな硬い試合になるなと、思っていました。特に前半は自分たちがやりたいことをできていなかったという印象です。全体のポジショニングも悪かったですし、自分たちから捕まりにいくようなイメージでした。相手にとっては守りやすかったでしょう。その中でボールの取られ方が悪くて、カウンターを食らって、良く無失点で折り返すことができたなという内容でした。少しだけ後半に向けて、ポジションを修正しましたが、ゴール前まで詰めるシーンは正直言って、イメージとは違う形でした。試合全体を通じて、自分たちのやりたいことをあまりできなかったという印象です。そういった意味では町田さんのゲームだったのかなと思います。次の試合に向けては、1週間ありますし、一度山形に帰れることで選手たちもリフレッシュできるでしょう。また新たなメンタルで試合を迎えたいと思います」
以上
▽選手コメント
○深津康太選手
–貴重な同点ゴールとなったゴールシーンを振り返って下さい。
「普通に良いボールが来て、山形のディフェンスラインがギリギリまで下がらないことはスカウティング通りだったので、いかにオフサイドを取られないように気をつけながらゴール前に入っていきました。決められて良かったです」
–最終ラインから見て、守備の嵌り具合はいかがでしたか。
「もう少しアグレッシブに取りに行かないといけない場面もありましたが、開幕戦ということで特有の硬さがあったかなと。まずは負けなくて良かったです。あとは僕たちの良さでもある、自分たちから仕掛けるプレッシングは今後の課題かなと思います」
–コロナ禍でファン・サポーターの皆様は声を出せない中で、ゲーフラや横断幕で応援をしてくれています。そんなファン・サポーターの皆様へ、メッセージをお願い致します。
「ファン・サポーターの皆様の応援は心強いですし、コロナ禍でも試合を見に来てくださることに感謝の気持ちでいっぱいです。そういった方々のためにも、ホームでは勝たないといけないので、次はホームでは絶対に勝ちたいと思います」
○長谷川アーリアジャスール選手
–町田でのデビュー戦となりました。試合を振り返って、感想を聞かせて下さい。
「まずここで試合を開催させていただくことにたくさんの方々が尽力をしてくれたと思います。そうした方々に感謝の気持ちを伝えさせてください。また今もなお、医療従事者の方々が奮闘している中で、そうした方々に感謝の気持ちを持ってピッチに立ちました。初めての町田での試合で僕自身楽しめた部分もありましたし、引き分けという結果でしたが、次に繋がる引き分けだったと思います」
–開幕戦特有の硬さがあったのでは?
「入りの部分では前から行けていましたし、相手にやられているというイメージはなかったです。セットプレーからのオウンゴールで先に点を取られて、その後は押し込まれる時間もある中で、交代選手が盛り返してくれて、深津康太選手が点を決めて引き分けられたのはチームにとって大きなことかなと思います」
–開幕戦にたくさんのファン・サポーターの方々が来てくださいました。メッセージをお願い致します。
「2021シーズンが始まって1試合目で勝ち点3を取ってスタートダッシュを切れれば良かったのですが、開幕戦ということもあってか、硬い試合になりました。その中で勝ち点1を取れたことは次に繋がります。今後はもっと攻撃的なゼルビアらしいサッカーを見せたいと思うので、これからも応援して下さい。よろしくお願い致します」
以上