○試合後の記者会見:黒田剛監督

-まずは試合の総括をお願いいたします。
「試合前日の時点で他会場の結果によってJ2優勝というニュースが入ってきましたが、難しい試合になりました。立ち上がりのゴールがより硬さを生みましたし、守勢にさせてしまった傾向がありました。ただクリーンシートで勝ち上がるという我々の志向してきたサッカーをハーフタイムにもう一度確認し合い、選手たちが実践してくれることでなんとか1-0で勝つことができました。振り返れば春先にJ2優勝・J1昇格を掲げ、コンセプトやベースを確認しながらここまで積み上げてきました。またエースのエリキの離脱など、いろいろな事情がありながらも、なかなか自分たちの思うような展開に持っていけなかったことは歯痒かったですが、その中でも選手たちが奮起をして、パワーをつけて臨んでくれました。またどのチームよりも、我々の日常が絶対的に勝っていると、自信を持って試合に臨ませたことが、1-0という一番理想的な形でこの試合を締めくくることに繋がりましたし、この結果をうれしく思います。さらにホーム最終戦には多くの方々にご来城いただき、その中でセレモニーを通じて、感謝の言葉を伝えることができました。長年支えて下さったファン・サポーターの皆様にとっては、待ち望んだ優勝だと思います。こうしてクラブの歴史に1ページを刻めたこと、また来年にはJ1という新しい舞台で戦えることを本当にうれしく思います。選手たちには今日が来年のスタートだと伝えていましたが、FC町田ゼルビアという名前をJ1のステージに轟かせるように準備をしていきます」
–あらためてJ2優勝を成し遂げることができた要因は?
「1年間を通して数多くの選手を起用してきましたが、その中でメンバー外の選手たちが口を揃えていたのは、「昔の自分だったら愚痴を言ったり、頑張らない自分がいたかもしれないけど、今年はメンバー外であっても、皆で戦っているという仲間意識を共有できていた」ということです。ネガティブな思考を持つ選手がいませんでしたし、試合に出るタイミングでは「絶対に活躍しよう!」と、そういう気持ちをひしひしと感じることができました。その結果、全員でJ1昇格を、J2優勝を勝ち取れました。そしてもちろんフロントも含めて、クラブが一枚岩になって目標達成に尽力して下さったことが、こういった結果を導いたんだと思います。選手をはじめ、フロント、スタッフ、スポンサーを含めて、皆の勝利だと思います」
–青森山田で経験してきたことをプロの世界で活かし、結果に繋げたことについて。
「高校サッカーでは結果を残してきましたが、経験したものがプロの世界で通用するか、私自身も不透明でしたし、通用するのか、通用しないか、疑う意見もあったと思います。ただそういった声が逆に私のモチベーションとなり、パワーとなりました。「見返してやろう」「ここで結果を出そう」という気持ちにさせてくれたのも、青森山田で28年間監督をやってきた末の気持ちだと思いますし、教員としてやってきた分、人に物を伝えることや、または選手たちに実践させることは改めてプロになっても通用するんだと実感しました。またはその言葉をしっかりと選手たちが理解し、実践してくれたことが今年1年間の成果になったと思います。教員時代には諸先輩方にいろいろなことを教わり、いろいろな体験をさせていただいたことがこうした結果をもたらしたと言えると思うので、感謝しています」
–黒田監督はファン・サポーターの皆様のことを「家族」と表現されてきました。そう思う理由を聞かせて下さい。
「町田のファン・サポーターの皆様からは応援、声援、激励以外の言葉を聞いたことがありません。自分たちのチームに矢印を向けながら応援してきました。ファミリーとは常にそういうものであって、仲間意識を持って激励し、褒め続けてくれる、そういった皆様のことはファミリーだと思っています。FC町田ゼルビアのファン・サポーターの皆様は心強いですし、どんな時も休まずに背中を押してくれる。そんな彼らの想いを感じた分、選手たちも走れたと思うので、ファミリーという言葉が適切だと思っています」
–プロ監督になってからの自分自身の変化やこれまでとはアプローチを変えた部分はありましたか。また青森山田出身選手の3選手(バスケス バイロン、宇野禅斗、藤原優大)の変化はどう捉えていますか。
「プロ選手たちはサッカーを職業としているわけですから、育成年代の選手とは違います。養うべき家族もいますし、人生をかけて飛び込んだ職業です。彼らに寄り添いながら、リスペクトをしながら接していかなければならないため、言葉もかなり選びました。寄り添い方も高校生相手とは違います。高校生とプロが違う点は、こちらの言うことをしっかりと理解し、選手たちが即座に実践してくれること。ピッチで求めることを誠実にやってくれること。それはやはり高校生の理解力とは違うため、「さすがプロだな」と実感してきました。卒業生3選手に関しても、彼らに対しては何歳であろうと、高校生のような扱いはできません。1人のサッカー選手として接してきた自負はあります。3年ないし、6年間指導してきた選手が3人いますから、親心のような気持ちを持ちながら、そして歩み寄りながら、コソッとアドバイスをする一面もありました。彼らも優勝を経験し、青森山田で勝ってきたことが今後のJ1というステージで活きるでしょう」
以上
○ツエーゲン金沢:柳下正明監督 会見要旨
「今までもずっと指摘してきたマーキングの距離が遠いため、多少イレギュラーな形でしたが、立ち上がりに失点をしてしまいました。それはシーズンを通して、なかなか変わらないことでした。残念な試合の入りでした。ただその他の場面は自分たちのミスからのピンチはあったものの、怖がらずにボールを奪いに行きましたし、相手ゴールも目指したので、残り2試合、最後まで諦めずに戦わせるようにします」
以上
▽選手コメント
○福井光輝選手

–試合終了直後は“男泣き”でした。
「いろいろな想いが涙にこもっていました。感動しました。清水の結果によって試合前日にJ2優勝は決まっていましたが、勝って優勝セレモニーを迎えることにこだわっていました。それがチームの1つの目標でしたし、そういう気持ちで臨んだ試合だったので、改めて試合が終わった後に優勝したんだなと実感しました。そしてスタンドのお客さんの姿を見たら自然と涙が出てきました。そんな僕をチームメイトは抱擁してくれました。クラブに携わる方々がいることで、優勝は成し遂げられたことだと思います。皆様におめでとうと伝えたいです」
–1-0で勝ちきれたのは今季のチームを象徴しているのでは。
「確かにそうです。ただ序盤の先制点で守勢に回りましたし、その中でうまく耐えることはできましたが、攻撃の面ではもっと厚みを出さなければ。もっと相手ボールも取りに行かないと」
○荒木駿太選手

–シャーレを掲げた心境はいかがでしょうか。
「こんな経験をできたことがうれしくて、チームメイトに感謝の気持ちでいっぱいです。ホッとしていますし、うれし過ぎます。優勝できたことはチームメイトのおかげですし、応援して下さったファン・サポーターの皆様のおかげです」
–後半のシュートチャンスは決めたかったですね。
「ループシュートで狙いましたが、こういう試合で決められるような選手にならなければいけないです。あの場面で決められないことも僕らしいと思いますが、決めないとJ1では厳しいので、J1で勝つためにも黒田剛監督が話している1本中の1本を決められるようにしたいです。しっかりと決められるような練習をしていきたいです」
–この3連勝は荒木選手の貢献度が高かったです。
「最初の秋田戦で勝って勢いに乗れましたし、その試合から先発で関われたことが自信になりました。ただ今日のようなプレーをしていたら、J1では通用しません。優勝はしましたが、気持ちを切り替えて、王者らしいサッカーをして残りの2試合も勝ちたいです」
以上
○平河悠選手

–今季はU-22代表に選ばれたり、J1昇格やJ2優勝もありました。どんなシーズンでしたか。
「とても充実していましたし、実力不足をまざまざと見せつけられましたが、少しずつ改善しながら、毎日自分を追及してやってきました。体重も少し増えましたし、筋肉量も増えたので、最終的に動ける体にはなったかなと思います。J1は技術的にもレベルは上がると思いますが、トライしていきたいです」
–来季はJ1への挑戦です。
「自分の特長はJ1相手でもやれるという感触はありますが、引き続き自分の特長を出していきたいです」
以上