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【酒井コーチのセルビア便り】情熱は言葉の壁を超える

コラム&企画

Dobar dan.
Kako ste?

「日本の小学生のサッカーレベルは欧州と比較しても高い水準にあるのに、なぜその後に追い抜かれてしまうのか? という問いに、それは、小学生の間は一学年毎にチームを作っているのに、日本はその後3年括り(ジュニアユース・ユース)のチームになるからだ」とセルビアと日本の両国で長く育成年代の指導に関わっているセルビア人指導者が言っていた。

ヴォイヴォディナは9歳から18歳まで、すべての学年でチームを構成し、年間通して行われるリーグに参加している。もちろん、能力の高い選手は一つ上の学年に出場することもあるが、その試合に出られなければ、次の日でも自分の学年に戻って出場できる。登録も日本のように厳しくはない。16歳くらいになると、トップチームと掛け持ちの選手も多い。

担当するコーチにも特色がある。

昨シーズン13歳(日本の中学一年生)のチームを担当していたのは60歳のコーチだった。彼らの祖父の年齢に近い、百戦錬磨のベテラン指導者だ。この年代は心身共にばらつきがあり、育成という意味でも重要な年代だからだ。

個人的な見解だが、日本の場合は違う。18歳年代(ユース)が花形で、学年が下がるほど指導経験の浅いコーチが就くことが多い。

この差がどう現れるかは、言うまでもない。

さて先日、ノヴィ・パザルというリーグで下位に位置するチームをホームに迎えて戦った。戦前の予想通り、5バックでがっちりブロックを組まれた上に、グラウンドもじゃがいも畑状態だったのでゴールが奪えずもどかしい前半となった。

僕はハーフタイムにはいつも監督と一緒にロッカーに戻る。

でも今日は、CFを代えそうな雰囲気を感じたので、グラウンドに残り、CFのピプリッツァに付きっ切りでアップをした。早ければ後半の開始から、遅くても早いタイミングで出番が来ると思った。ハーフタイムという、短い時間の中だったが、間違いなく出てくるであろう、振り向いてシュートを入れてイメージを作らせた。

ロッカーから戻ってきた監督から「後半の開始から行くぞ!」との指示が出た。

監督から「ピプリッツァ!準備は出来ているか?」の問いに「Sakaiと準備したから大丈夫だ!」と彼は答えた。僕も監督に「I believe him to get goal.」とウインクをした(僕の英語の文法はまだまだ未完成だが、伝えたいという想いは完成されている)。

ピプリッツァはまったく英語が喋れないので、ジェスチャーとセルビア語の単語で「イエダン・ドゥバー!(1,2!)、ブルゾ!(早く!)」など「とにかく時間を掛けないで早く打て。トラップミスしても素早く足を振り抜け」と指令を出して送り出した。

そして、彼は見事に5分で結果を出してみせた。

ベンチに向かって走ってくるピプリッツァに、思わず僕もベンチを飛び出した。一直線に向かってくる彼と抱き合い、日本とは一学年以上は体格が違う、16歳の歓喜の輪の中心に入り、視界が消えた。言っておくが、視界が消えたのは僕の涙ではなく、歓喜の輪に入ったからだ。

難しい試合を2-0で勝つことができた。

苦しいこともたくさんあったが、文化も言葉も違う中で得た信頼関係にサッカーの素晴らしさを感じた一日だった。


※撮影:BRBORIC氏(選手のお父さん)
映像はゴールシーンから設定済み(45:30)。

ではまた。

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